島に激震「寝耳に水」…竹富町長逮捕  県警、役場を家宅捜索

 竹富町発注の送水管更新工事を巡る官製談合事件が発覚し、町長の西大舛高旬容疑者ら6人が13日に逮捕された。県警は町役場のほか、県外にも捜査員を派遣し、関係先を家宅捜索した。最低制限価格と落札額の差がわずか千円という異例の契約。県警は西大舛容疑者と業者の関係性や両者に金銭や物品の授受がなかったかなど、追及する構えだ。現職町長の逮捕に、関係者からは「信じられない」「強引な町政運営だ」などの声が上がる。

 【竹富】普段は歯に衣(きぬ)着せぬ豪快な物言いで知られる竹富町長の西大舛高旬容疑者。だが逮捕当日、報道陣の前に姿を現した際には、終始うつむいたままだった。 石垣市登野城にある西大舛容疑者の自宅マンションに、任意同行を求める県警捜査員が入ったのは13日午前7時半ごろ。捜査員に付き添われ自宅から出てきた西大舛容疑者は、報道陣に視線を合わせることなく、静かに捜査車両に乗り込んだ。

 約9時間後の午後4時20分ごろ、西大舛容疑者の姿は新石垣空港にあった。那覇行きの飛行機に乗り込む西大舛容疑者の手元は、任意同行を求められた際とは違い、布で覆われていた。飛行機に横付けされた車両から降りると、うつむいたままタラップを登り、機内に乗り込んだ。

 石垣市内にある町役場には13日午後1時半ごろ、県警の捜査員が到着した。通りかかる市民は役場を取り囲むように待ち受ける報道陣の様子に驚き、報道カメラが狙う先を心配そうに見ていた。

 捜索は5時間以上に及んだ。午後6時45分ごろ、捜査員は押収した関係資料が入った段ボール箱を車両に積み込み、町役場を後にした。

 現職町長の逮捕で町は対応に追われた。14日には大浜知司副町長が急きょ会見を開き、当面の間、自身が町長の職務代理者となると発表した。会見で大浜副町長は「寝耳に水だった。捜査に協力していきたい」などと語った。町民から町役場に数件、情報を問い合わせる電話があったという。

 新田長男町議会議長は「信じられない。例えば飲食店で知人と会えば、誰とでも一緒に飲むような人だ。特定の業者を懇意にする感じはしない」と驚いた様子で話した。

 一方、別の町議は「強引な町政運営で、聞き心地の良いことしか聞かない印象はある」と漏らす。

 (西銘研志郎、佐野真慈)【関連ニュース】
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