同級生は衝撃デビューも「自分は何もできてない」 ロッテ19歳右腕が糧にする“焦り”

ロッテ・中森俊介【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

2020年ドラフト2位・中森、昨季は体づくりで公式戦には登板せず

ともに甲子園を沸かせた同級生に、負けてはいられない。ロッテの中森俊介投手は、はやる気持ちを抑え、キャンプで練習に励む。1年目の昨季は、体づくりに注力。「同級生の来田(涼斗)が1軍で活躍していたので多少の焦りはありました。でも、それを自分の中でポジティブに捉えるようにして、トレーニングに励んでいました」。プロ生活も2年目となり、少し大人びた表情になった19歳は、未来に視線を向ける。

【動画】体重も増え身体は一回りがっちり 2年目を迎えたロッテ中森の投球映像

連投の多かった高校時代から一転、チーム方針もあり、佐々木朗希投手の1年目と同じように、公式戦には登板しなかった。体重は入団時から4キロ増え90キロに。下半身も一回りたくましくなった。黙々とウエートや体幹トレーニングを続ける中、頭の片隅には常に“同級生”の存在があった。

「来田が1軍で試合に出てるのに、自分は何もできていないというもどかしさ、悔しさはありました」

オリックス・来田とは明石商時代、春夏合わせて甲子園に3度出場。中森は2年夏に150キロを計測、来田は甲子園で計3本の本塁打を放ち、2年時には投打の軸として春夏4強入りを果たした。ともに超高校級と呼ばれ、切磋琢磨してきた仲間が、もう1軍の舞台で活躍している――。刺激にならないはずがなかった。

オリックス・来田涼斗【写真:荒川祐史】

来田はプロ初打席初球本塁打「打つだろうなとは思っていた」

昨年7月13日の日本ハム戦(釧路)にスタメン出場した来田は、高卒新人では史上初となるプロ初打席初球本塁打という離れ技をやってのけた。中森は「高校の時から大舞台に強かったので、打つだろうなとは思っていました。まさかホームランとは思わなかったですけど……」と振り返る。

来田はその日、本塁打を含む3安打猛打賞の活躍。試合後に中森が「ヤバいな」とLINEを送ると、「たまたまや」と返ってきた。頼もしかった仲間は、負けられないライバルに。今季公式戦のマウンドに上がるようになれば、相対する機会もある。

「対戦したい気持ちもありますし、抑えたいなという気持ちもあるんですけど、試合になったらチームの勝ち負けを1番に考えてやりたいなと思います」

昨秋の「みやざきフェニックス・リーグ」ではマウンドに上がり、課題も見つかった。「球数が増えていくごとに、制球が定まらなくなったり、真っすぐの球威が落ちて打たれたりすることがありました」。キャンプでは、スタミナはもちろん、ストレートの球威向上をテーマに掲げる。

公式戦に登板し、経験を積んでいく今季。「昨年は公式戦で1回も投げられていないので、回数を投げていきたいなと思います。もちろん1軍で投げたい気持ちはずっと変わりませんが、まずは土台をしっかり作りたいです」。焦る気持ちを抑えながら、一歩一歩、階段を上がっていく。

○中森俊介(なかもり・しゅんすけ)2002年5月29日、兵庫県丹波篠山市生まれの19歳。小学2年時に野球を始める。中学では軟式野球部に所属。引退後の7月からは三田ボーイズに入部。明石商では1年夏に甲子園出場。2年時には来田涼斗(オリックス)とともに同校を春夏連続ベスト4に導いた。2020年のドラフトでロッテから2位指名を受け入団。182センチ、90キロ。

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(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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