採石地緑化し地域貢献 矢野産業(国富町)

2000年に宮崎市田野町で行われた植樹祭。七野小の緑の少年団ら約350人が参加した(矢野産業提供)

 県内最大手の砕石業者「矢野産業」(国富町、矢野俊也社長)は、国連がSDGs(持続可能な開発目標)を掲げる数十年前から環境保全に注力している。採石後の土地の緑化や太陽光発電事業など、多方面でサステナブル(持続可能)な社会づくりを目指す。
 1962(昭和37)年に創業。山から取り出した採石を安全で使いやすい砕石骨材とし、各種土木・建設工事の資材として提供する。岩石を採取する際には森林を伐採する必要があるほか、砕石場では粉じんや騒音など周辺住民に負荷をかけてしまうことから森林再生や地域との共存を図ってきた。
 特に力を入れるのは「企業の森」活動。85年から林野庁の分収育林・造林制度を活用し、県内3カ所の国有地計14万8千平方メートルにヒノキやクヌギ、ヤマザクラなど計4万2530本を植樹。九州森林管理局の事業評価によると、流域貯水・水質浄化量や二酸化炭素吸収・固定量などを基に換算した2004~20年度の環境貢献度は7072万円に上る。
 1994年には日向砕石工場(日向市)隣にコミュニティー広場を整備し、地域住民に開放。2013年からはエネルギー事業にも参入し、国富町と日向市美々津に各1メガワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を設置した。19年には企業主導型保育園を開設し、働き方改革に対応した職場づくりにも尽力する。
 今年5月に創業60年を迎える同社。矢野社長は「社会のインフラ整備に欠かせないのが私たちの仕事。縁の下の力持ちとして地域に根差した100年企業を目指したい」と見据えている。

© 株式会社宮崎日日新聞社