なぜ2軍でも0勝の19歳に前田健太は惚れ込んだ? 中日首脳陣も驚いた急成長の転機

中日・高橋宏斗【写真:荒川祐史】

マエケンから注目された高橋宏斗、インスタグラムで個別やりとりも

中日の高橋宏斗投手が19日、DeNAとの練習試合(北谷)に先発する。高卒2年目を迎えたドラフト1位は春季キャンプで抜群の存在感を見せ、首脳陣の評価も右肩上がり。ツインズ・前田健太投手がSNSで注目して話題にもなった。1年目の昨季は2軍でも未勝利だった大きな蕾が、開花に向けてむくむくと膨らんでいる。

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2回無失点と好投した11日の紅白戦から、中7日で迎える対外試合。「しっかりゼロで帰ってくることが、一番のアピールになると思います」と言葉に力を込める。立浪和義監督が「一番、力のあるボールを投げている」と言えば、落合英二ヘッド兼投手コーチも「スケールが大きい。どんなピッチャーになるんだろうとワクワクする」と期待の言葉を並べる“ナンバーワン注目株”だ。

愛知・中京大中京高からプロの世界に飛び込んだ昨季は、1軍デビューはお預け。2軍では14試合に登板したが、0勝5敗、防御率7.01と結果はついてこなかった。球速は150キロを超えても「そこまで出ているように感じなかった」との声も。痛打される場面は少なくなかった。

中日・高橋宏斗【写真:小西亮】

昨秋のフェニックスLで“兆し”…さらにオフへて「見違えるようになった」

好転するきっかけが訪れたのは昨秋。みやざきフェニックス・リーグでの先発予定が雨で流れた日、屋内のブルペンで1試合分の球数を投げ込んだ時だった。「その時の球は、ものすごかったです。『頼むからその感覚を忘れるなよ』って言いましたからね」と小笠原孝2軍投手コーチは振り返る。体が横振りになって球に体重が乗らない悪いフォームから、打者方向に体の力を無駄なく乗せられる“本来の姿”に改善されつつあった。

フェニックス・リーグでは11イニング連続無失点も記録。兆しを見出し、オフをへてキャンプへ。「さらに見違えるようになっていましたね。しっかりオフに取り組んできたことがよく分かりました」と小笠原コーチ。1年目に苦しんだ逸材は急成長を遂げ、2年目をスタートさせた。

紅白戦の翌日には、前田が自身のツイッターで「YouTubeで紅白戦をちょっと見ただけですが中日の背番号19のピッチャー良くないですか? 吉見さん引退されてるので新しい選手かな?」と注目。メジャー右腕からの熱視線は高橋宏にも届いたようで「すごく嬉しかったですし、注目していただけることはプラスだと思う」と力に変える。インスタグラムのメッセージ機能で、大先輩とやりとりしたことも明かした。

19日は3~4イニングを予定。結果は二の次で、落合ヘッドも「ブルペンで投げているボールが投げられるかに尽きる。まだ勢いだけしかないので、みんなの見る目が変わるくらいになってきたら(面白い)と思います」と言う。チームとしては、いかに大きく、頼もしく育てていけるか。未来のエースの、覚醒の1年が始まった。(小西亮 / Ryo Konishi)

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