栃木SC「みんながついている」サポーターとつかんだ開幕勝利

開幕戦の勝利を喜ぶサポーターたち

 新型コロナウイルス感染拡大で春季キャンプが打ち切りになり、苦しいシーズンインとなったサッカーJ2の栃木SC。準備不足が心配されたが、19日のホーム開幕戦は秋田に1-0と白星を飾った。不屈の闘志を見せた選手たち。ファンも歓喜に沸いた。

 この日の来場者は2956人。感染症対策で1席ずつ空けて観戦した。

 黄色一色となった栃木SC側スタンド。ファン歴10年以上という宇都宮市、無職柏崎康一郎(かしわざきこういちろう)さん(74)は「練習量や連係は大丈夫だろうか」とコロナ禍で出遅れたチームの完成度を気に掛けていた。

 午後1時すぎ、試合開始のホイッスルが鳴ると「思い切ってやってほしい」と強く念じた柏崎さん。声を出しての応援はできないため、拍手を送ったりハリセンをたたいたりして選手を鼓舞。エールに応えるようにピッチ上の11人が躍動した。

 後半13分、新加入のFWトカチのミドルシュートをMF西谷優希(にしやゆうき)が軌道を変え、ゴール右下へ。待望の先制弾にファンは総立ちとなり、拳を突き上げた。

 その後は猛攻に耐えて1点を死守。「よく走った。良いゲーム」と埼玉県川口市から訪れた会社員男性(57)。「キャンプがなくなり、これだけ準備期間が少なかったのはSCだけだと思う。今日は強い気持ちを感じた」とたたえた。

 ファンの熱い思いは、ピッチ外でも選手を後押しした。ウオーミングアップ場や通路には300枚の応援メッセージが貼り付けられた。会員制交流サイトにハッシュタグ(検索目印)「#栃木SCみんながついている」と共に寄せられたエールの数々だ。

 宇都宮市、幼稚園教諭小藤那菜(こふじなな)さん(22)は「選手のモチベーションも上がったと思うし、サポーターも一致団結できた」と笑みをこぼす。「最高のスタート。J1に向かって、私たちももっと応援していきたい」と躍進を願った。

応援メッセージが張られた通路を通る選手たち(栃木SC提供)

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