開幕戦

 〈…めくれば月日流れ初む〉〈…子の嫁ぐ日の二重丸〉〈…掛けしいつもの柱かな〉-新しい日々が流れ始める。大きな「◎」で囲まれたのは家族の大切な日、見慣れたリビングの景色も少しだけ違って見える-三つとも俳句の一部で、共通の季語は「初暦」▲雨の降る諫早、4719人の観衆に見守られて、2022年のカレンダーがもう一つ動きだした。サッカーJ2、V・ファーレン長崎は昨日が今季の開幕戦▲先制点は前半25分。コーナーキックから相手ゴール前の混戦、新主将のカイオセザール選手が冷静に決めた。ところが12分後、今度は相手の東京Vがセットプレーからお返しの強烈な同点ゴール▲V長崎は新加入のクリスティアーノ選手らを軸に勝ち越し点を狙ったが、スコアはここから動かず、1-1のドロー発進。真っさらの勝敗表、最初に書き込まれたのは「△」▲今年のJ2は、昨季J1で戦っていた“降格組”が4チーム。ちょうど半分の11チームはJ1に在籍した経験がある。どこが抜け出してもおかしくない激戦模様らしい。J1への切符は昇格プレーオフ経由を含めて3枚▲一昨年は3位、昨年4位のV長崎、上位争いの有力候補と目されている。〈幸せの待ちゐる如く初暦〉稲畑汀子。全42戦の長丁場、大きな期待を持ちながら。(智)

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