寒風吹く株式市場、価格下落の要因と希望が見える2銘柄を解説

年明け以降、世界的に株価が冴えない展開となっています。昨年末の株価と比較したパフォーマンスは、2月17日時点で米国のNYダウ平均はマイナス5.6%、ナスダック総合指数はマイナス12.3%と冴えません。また、日経平均はマイナス5.4%、マザーズ指数にいたってはマイナス28.1%と非常に厳しい値動きです。

今回は、この株価調整の原因と今後の見通しについて解説します。


株価下落が続いている2つの理由

足元の株価調整には大きく2つの理由があると考えています。1つは米国の高インフレとそれを受けた金融引き締め政策のスピードが早まりそうという点です。

2月10日に発表された米国のCPIは、前年比7.5%の上昇で約40年ぶりの上昇率となりました。米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)はデュアルマンデートと呼ばれる2つの法的使命、「物価の安定」と「雇用の安定」をおっています。リーマンショック以降基本的にFRBはいかにデフレを防ぐか、景気を拡大させるかということに注力してきたわけですが、現在の状況は180度変わり、いかにインフレ退治を行うかということになっています。

昨年12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、2022年には3回の利上げを行う可能性があるとのメッセージが市場に対して送られましたが、足元では利上げペースがさらに早まるとの見方が大勢を占めており、年内に計7回利上げするのではとの予想もでているほどです。FRBは経済情勢を見極めながら引き締めを進めるでしょうが、ISM景況指数など一部経済指標にピークアウトの兆しが見られる中で、本当にそこまでの金融引き締めに米国経済が耐えられるのかという不安が高まっています。

株価調整のもう1つの材料は、ロシアがすぐにでもウクライナに侵攻するのではという悲観的な見方です。局地的な戦闘ならまだしも、米欧vsロシアの大きな戦闘になったり、経済的な対立が深まったりすればマーケットのセンチメントは一気に悲観に傾く可能性がありそうです。

希望が見える2つの日本株

これらの状況を踏まえると、短期的に株価が大幅反発するというシナリオは描きづらいのではと筆者は考えています。ただ、もう少し長い目線で考えると「アフターコロナの観光関連銘柄」には大きく期待できるのではないでしょうか。日本の2つの銘柄にそのヒントが出ているので、ご紹介します。

まず1つ目は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(4661)の株価動向です。以下の株価チャートの通り、オリエンタルランドの株価は今年に入ってぐんぐん上昇しなんと上場来高値を更新しています。

1月末に発表された第3四半期決算で10~12月の3ヶ月は増収増益で営業黒字に転換しました。今期は最終赤字予想ですが来期以降の業績に期待が高まっています。オリエンタルランドの株価はさすがに割高感があるように筆者には思えますが、マーケットのアフターコロナへの期待感が反映されているのかなとみています。

また、メディアでも話題になりましたがANAホールディングス(9202)が10~12月決算で営業黒字に転換しました。元々ANAは四半期ベースで5000億円以上の売上があり、ようやく黒字が出ていた会社です。それが直近は3000億円強の売上で黒字を達成したわけですから、並々ならぬ企業努力が伺えます。

これはANAだけではなく、多くの日本企業に言えることではないかと考えています。観光、飲食などコロナによって苦境に立たされた多くの企業のなかにはこの苦しかった数年間にコスト削減に取り組んだ会社が非常に多いと思います。コロナ禍で筋肉質となっているところに、経済正常化となれば大きな利益成長が期待できるのではないでしょうか。

今は多くの地域でまん延防止等重点措置がとられておりそういった雰囲気はありませんが、今後世界的にコロナが収束にむかっていけば、海外からの観光客いわゆるインバウンドも再び増加してくるでしょう。すでに1ドル115円の円安水準ですが、冒頭申し上げたように米国の金融引き締めが進んでいけば米日の金利差拡大に伴い一段の円安進行の可能性もあり、そうなれば日本に旅行して買い物したいという海外の方は非常に多いと思います。日本政府も元々国策として外国人観光客の増加を掲げていたわけであり、再び積極的な誘致を行うでしょう。

足元は確かに悲観的な材料が多く株式市場の大幅反発は難しいかもしれません。しかし、株式投資の世界では常に未来を予測することが大切です。もちろん筆者の予想が外れる可能性も大いにありますが、ぜひ皆様が考えるためのヒントとして使っていただければ幸いです。

© 株式会社マネーフォワード