3月12日のダイヤ改正で、6050型や350型の去就が注目される東武鉄道。
一方で特急「りょうもう」は約半数の運用が「リバティ」に置き換えとなります。
今回はそんな200系列の「りょうもう」にスポットを当ててみたいと思います。
実際に乗ってみる
先代の1800系をイメージした塗装に変更された200型205編成。真っ赤な車体が目を惹く。
「りょうもう」号は浅草と赤城(群馬県)を結ぶ特急列車。一部は葛生・伊勢崎まで足を伸ばす便もあります。もともとは「急行」列車であった経緯もあり、日光線系統の「スペーシア」とは異なる料金体制となっています(※リバティりょうもう号を除く)。
今回は浅草から乗車。今回乗車するのは往年の1800系をイメージした赤い塗装の200型りょうもう号です。車内販売はないため、飲料などは乗車前に事前に買っておく事をお勧めします。
浅草発車時点では乗客もまばらでしたが、北千住から一気に席が埋まります。平日朝の下り列車という事で、観光客よりもスーツ姿のビジネスマンの姿が目立ちます。
ビジネスマンの利用が目立つ朝の北千住駅・特急ホーム。写真は後日撮影。## 台車は年代モノ
205編成の車内。モケットも往年の姿をイメージしたものに交換されている。
1991年に「りょうもう」号用に登場した車両。スタイリッシュなデザインが特徴的です。
厳密には200型と250型にわかれ、前者は1700系・1720系の台車などの機器を流用したいわゆる「更新」車。制御方式は界磁添加励磁制御です。後者は30000系通勤車両に準じたVVVF制御車(完全新造車)で、1編成のみの在籍です。
今回は前者の200型。台車は半世紀以上が経過していますが、揺れも少なく安定の走りで複々線区間を快走。当時の技術力の高さに驚きます。
また様々な列車と離合・追い抜きをする複々線区間は東武スカイツリーラインのハイライト。力強いモーターサウンドを堪能しながら、乗っていて飽きる事はありません。
でも設備面での陳腐化は否めない…
編成内での洋式トイレは3号車のみ。右側に見える自動販売機は使用中止となっている
都心方面と北関東工業地域の主要都市を結ぶという事で、車内を見渡すとノートパソコンを使用するビジネスマンも目立ちます。
無料Wi-Fiは装備されているものの、一部の編成(座席未交換車)では座席裏の収納テーブルがなく、ビジネスマン視点では正直不便に感じることも。
また90年代初頭といえばまだまだ公衆電話が主力の時代。3号車以外ではデッキも狭いため、複数人がデッキで携帯電話を使用する際にはやや不便を感じます。
1編成3箇所あるトイレも2箇所が和式であるなど、正直なところ設備面での陳腐化は否めない印象です。
関東平野を北進、北関東へ
浅草を発車して約1時間。利根川を渡り群馬県へ
羽生を過ぎると列車は利根川を渡りいよいよ群馬県へ。赤城山が近くに迫り、遠くまで走ってきたと実感します。
利根川橋梁からは、天気の良い日には富士山から浅間山、日光連山や筑波山まで、関東平野周辺の山々を一望することができます。
列車は館林、足利市と停車し、その後ほとんどの乗客は「SUBARU」の企業城下町でもある太田で下車してゆきました。
終点に大きな観光地などを持つ事が多い私鉄特急ですが、こうした旅客需要も「りょうもう」ならではの特徴なのかもしれません(※午後の時間帯には太田発着の列車も設定)。
目指す先はなぜ伊勢崎ではなく桐生?
太田を過ぎると車内の人もまばらに
伊勢崎線を北上してきた「りょうもう」号ですが、太田からは桐生線に入ります。
残った数名も新桐生で下車し、トロッコ列車で有名な「わたらせ渓谷鐵道」の連絡駅である相老(あいおい)で下車したのも、平日ということで2名のみ。終点・赤城に着く頃には車内は貸切状態に。
ちなみに伊勢崎線の終点、伊勢崎まで乗り入れる「りょうもう」号は一日一往復のみ。
車社会で道路網も発達している群馬県では、伊勢崎地区から自家用車などで本庄などへ出てしまうユーザーが多い事情もあるそうです。
一方で足利や桐生地区では「りょうもう」号が都心方面への最短ルートとなり、JR(高崎経由、小山経由)よりも安い料金で移動できるのも魅力の一つです。
今後はどうなる?
3月のダイヤ改正で約半数の運用が消滅する事になる200系列。さらに「リバティ」置き換え後は終日3両編成での運行も増える事になります。
変わりつつある時代のニーズを考えると、200系列の置き換えもやむを得ない印象ですが、今後は全ての「りょうもう」の運用がリバティになってしまうのかも気になるところです。
東武沿線の観光地といえば「日光・鬼怒川」を真っ先にイメージしますが、アフターコロナを見据えて「りょうもう」沿線の観光キャンペーンや、他の鉄道会社とタイアップした旅客誘致などがあっても良いかもしれません。
往年の1700系・1720系の乗り心地を体験できる200型「りょうもう」号。皆さんも是非一度乗ってみては如何でしょうか?
【著者】通勤電車ドットコム