昨季は8番打者の敬遠が全体の30.6% MLBが導入する両リーグDH制で生まれるメリット

バント練習中に鼻を骨折したナショナルズ時代のマックス・シャーザー【写真:Getty Images】

投手が打席に立たないことで怪我のリスクも減少

メジャーリーグは今シーズンからナ・リーグにもDH制を採用する「ユニバーサルDH」の導入が濃厚となっている。そんな中、米スポーツ専門メディア「ブリーチャー・レポート」は両リーグDHで生まれる“メリット”に注目している。

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投手が打席に入らないことで、打撃に特化した野手にとっては「DH」のポジションが一つ増えることになる。より攻撃的な野球になることが予想される中、同メディアは「ユニバーサルDHが好ましいことには、多くの理由がある」と、データを用いて分析。

1900年から2021年までのポジションごとのwRC+(得点創出力を示す指標)の推移グラフでは投手の数値が年々低下。昨季も打席に入った投手の44.2%が三振、8.7%は犠牲バントと全打席の約53%でアウトを献上していたことを指摘。さらに昨年のナ・リーグでは投手の前の8番打者への敬遠が全体の30.6%を占めていたことを言及している。

さらに投手が打席に立たないことで怪我のリスクも抑えられる。2019年には当時ナショナルズのマックス・シャーザー投手がバント練習中に鼻を骨折するなど、投げる以外での“予期せぬ負傷”も多々あった。高額な年俸を払う球団側、そして選手にとっても「あえて危険に晒す必要はない」と両者にメリットがあることを伝えている。

昨季ア・リーグMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平投手にとっても追い風になるかもしれない。今年はナ・リーグ主催の交流戦でもDHとして出場すれば、打席数が増えることで本塁打にも期待ができる。日本のプロ野球でもセ・リーグへのDH導入は毎年のように論争されているだけに、今後の動きにも注目が集まりそうだ。(Full-Count編集部)

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