三川内焼の魅力、動画で発信 佐世保の「平戸松山窯」 職人見習いの中里さん企画

器と料理の紹介をする「平戸松山窯」の映像(ユーチューブの画像)

 長崎県佐世保市の伝統工芸品、三川内焼の窯元「平戸松山窯」が動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用し、焼き物作りの背景などを伝えようと奮闘している。企画は同窯元の職人見習い、中里彰志さん(24)。器の紹介だけではなく、窯元の職人にも焦点を当てて発信していく。
 中里さんは父で同窯元当主の月度務(つとむ)さんの跡を継ぐため、佐賀県立有田工業高デザイン科を卒業後、有田窯業大学校に進学。伝統工芸品などを扱う東京の小売店で修業を積んだ。2020年3月に同市に戻り、絵付け師とろくろ師として技術の向上を目指している。
 発信を意識したのは、小売店で接客していた時。三川内焼は平均して単価が高く、どこで売れるのか気になっていたが、約20万円の酒器を購入する人や、細かい模様を描く技法にほれて、三川内焼を選ぶ人もいた。「技術が高く、良い物を作れば売れる」と実感。焼き物だけではなく、その背景を伝えたいと思ったという。また、三川内町の窯元では後継者不足が課題で「伝統を途絶えさせたくない」との気持ちが強くなった。
 動画は昨年10月から始め、月1、2本のペースでアップ。染め付けの器に祖母の料理を盛り付けて“実演”したり、陶器市で職人にインタビューしたりと、撮影や編集に友人や家族らを巻き込みながら、三川内焼の楽しさを伝えていく。
 中里さんは「三川内焼を守り、卓越したいろんな職人が集まる町にしたい。応援よろしくお願いします」とアピールした。


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