素材にこだわった手作りのハンバーガー、いわゆるグルメバーガーの人気は衰えることを知らず。ここ石川県にも本格的なバーガーショップが続々と増えています。
今回、訪れたのは金沢市畝田にある『1/3 HAMBURGER FACTORY』。踊るハンバーガー職人こと店主のビッグさんに、お店をオープンした経緯やこだわりなどを聞いてみました。
ダンスtoバーガーの点と線
もともとは大阪を拠点にヒップホップダンサーとして活動していたビッグさん。地元石川に戻ってからはダンススタジオを経営し、若手ダンサーたちを指導する日々でした。
転機が訪れたのは3年前。ダンサーとしての活動に区切りをつけ、ハンバーガー職人の道を目指すことになります。
ビッグさん:こっちに戻ってきた頃から30歳をメドに別の道に挑戦するつもりで。いろいろな選択肢がある中で、自分を育ててくれたヒップホップカルチャーと密接な関係にあるハンバーガーを極めたいと思ったんです。
それからほどなくしてハンバーガーの武者修行へ。最初に門を叩いたのは、東京新宿にある「SHOUGUN BURGER」でした。
ビッグさん:いろいろと経験させてもらっているうちに、ハンバーガーは日常を彩るアイテムとして、無限の可能性を秘めていると感じるようになりました。
その後、単身でハンバーガーの本場ニューヨークに渡ったビッグさん。そこで貴重な経験をすることになります。
ビッグさん:約2ヶ月の間、ポップアップストアを出店したり、街中のハンバーガーを食べ歩いたり、現地のカフェのハンバーガーをリメイクしたりもしました。いい刺激になったし、自信もつきましたね。
それもそのはず、ポップアップストアは出せば即完売の大盛況で、売れも売れたり数千個。ビッグさんが創り出すオリジナルのバーガーは、味にうるさいニューヨーカーにも大好評だったそうです。
ちなみにお店をデザインした「ベロ&ボスコ」のモリモトシンゴさんは、ビッグさんにとってお兄さんのような存在。少年時代はモリモトさんの影響でスケボーの楽しさにも目覚めたそうです。
いよいよ待望のグルメバーガーが登場!
ビッグさんにとってグルメバーガーとは、ひと口で食べた瞬間、初めて完成する料理。
食材のビルド、味付け、食感など、なにからなにまで食べたときのバランスを第一に考えているため「できるだけ割らずに食べて欲しい」といった思いになるのだそうです。
ビッグさん:もうひとつ意識しているのはエンターテイメント。表現者としてダンスを踊っていたときと変わらない情熱で、自分にしか作ることのできないハンバーガーを表現したいと思っています。
表現といえば、アメリカンな見た目の中にもどこか大和魂を感じるような、美しい佇まいもビッグさんが作るハンバーガーの特徴。ボリューム満点なビジュアルゆえ見落としがちですが、よく観察するとその繊細さに気づかされます。
グルメバーガーの主役ともいえるパティの調理にもこだわり。
肉の塊をプレスしながら一気に焼き上げることで、外はカリッと香ばしく、噛めば噛むほど肉の旨みと香りが口の中に広がります。ひき肉は粗めにチョップされていて、ステーキのような肉々しい食感も印象的でした。
オリジナルのバンズは歯切れの良さを意識。ワイルドな食感のパティに負けず、それでいて柔らかさも感じる絶妙なバランス。クリーミーな特製タルタルやバーベキューソースとの相性も抜群で、まさに渾然一体の味わいと言えます。
取材中「お客さんがわくわくするようなイベントを打ちたいんですよね〜」と話していたビッグさん。最近ではゴールドカレーとのコラボバーガーも提供し始めたそうで。一体これからどんなスペシャルなバーガーを生み出してくれるのか、エンターテイナーとしての手腕にも期待が集まります。
1/3 HAMBURGER FACTORY
サンブンノイチ ハンバーガー ファクトリー
石川県金沢市畝田東4-1125
TEL.076-208-3393
営業時間/11:00~20:00(L.O.19:30)
定休日/水曜日
席数/カウンター4席、テーブル12席
駐車場/10台
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)