2軍では勝てるのに…1軍ローテ入りへ必要な“条件” 専門家が指摘する共通点は?

23日のオリックスとの試合に先発したロッテ・森遼大朗【写真:宮脇広久】

ロッテ・森遼大朗がオリックス戦で3回1安打無失点

2軍のエースと1軍投手の間に存在する“壁”は、超えられそうでいて、決して容易ではない。昨季のイースタン・リーグで10勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得したロッテ・森遼大朗投手は23日、「球春みやざきベースボールゲームズ」のオリックス戦(SOKKEN)に先発。3回1安打無失点の快投を演じた。昨年12月に育成から支配下登録を勝ち取ったばかりの1軍未登板の右腕が、いきなり開幕ローテ入りに挑む。

初回からピンチを背負った。味方のエラーをきっかけに1死二塁に。しかし、3番・紅林を外角低めのスライダーで二飛に仕留めると、昨季本塁打王に輝いた4番・杉本をインハイのストレートで投ゴロに打ち取って脱出した。2回は1死一塁で、オリックスのドラフト2位ルーキー・野口に対しカウント1-2から3球連続でフォークを投じて空振り三振に。一塁走者の頓宮がスタートを切っていたため“三振ゲッツー”で失点を免れた。

2017年の育成ドラフト2位で、宮崎・都城商から入団。4年目の昨季は美馬からアドバイスを受けてフォークを改良し、格段に投球の幅が広がった。イースタン最多の10勝(5敗、防御率3.20)を挙げ、念願の支配下登録を締結。背番号も「123」から「62」へと軽くなった。

野口氏「2軍で勝つことができる」投手の特徴は?

この日もストレート、フォーク、スライダー、カーブを駆使。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「非常にいい変化球を持っている。あとはもう一息、真っすぐに強さがあれば、1軍の先発ローテに入ってもおかしくない」と評した。

野口氏は「私はこれまで数多くの投手を見てきましたが、変化球を自在に操ることができて、そこそこコントロールがある投手は、2軍で勝つことができます。逆に球が速いだけの投手は、2軍の打者にも何度か対戦するうちに、1、2の3でタイミングを合わせられる」と指摘。2軍で白星を稼げるようになった投手が1軍への壁を破るために課題となるのが、“真っすぐの強さ”というわけだ。

「同じことは阪神の村上(頌樹投手)にも言える」と野口氏。イースタン最多勝の森に対し、村上はドラフト5位で東洋大から入団し1年目の昨季はウエスタン・リーグで最多勝(10勝1敗)、最優秀防御率(2.23)、勝率1位(.909)の3冠に輝いた。しかし、1軍では2試合に先発し計5回1/3で10失点。防御率16.88と“壁”に跳ね返されている。

変化球を磨いて2軍のエース級まで階段を上ってきた男たちが、“もう一息”の戦いを続けている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2