困窮する架空の村をサポート 識字率向上計画で最優秀賞 長崎明誠高3年の4人

国際協力実体験プログラムの研究発表で最優秀賞に選ばれた生徒たちと土橋教諭(右)=長崎明誠高

 国際協力機構九州センター(JICA九州)の「高校生国際協力実体験プログラム」研究発表で、長崎県立長崎明誠高(長崎市西海町)の3年生4人が、九州各県代表7校のうち最優秀賞に選ばれた。困窮する海外の架空の村を支援する計画を立てる課題に対し、識字率の向上が大切と考え、現地でできるペンと紙作りの計画を提案した。
 4人は宮本かりんさん、中尾萌子さん、上野実優希さん、徳永未咲さん。昨年7月ごろから同校で元青年海外協力隊員らと交流しながらSDGs(持続可能な開発目標)の視点で国際協力について学習。同10月、オンラインで開かれた同プログラムで課題が出され、隊員になりきって計画作りや検証実験に取り組んだ。
 支援する村の情報は▽自給自足中心▽電気や水道の供給が不安定▽就学率6割程度-など。4人は識字率が上がれば村全体が発展するのではと考えた。住民だけでも続けていける国際協力を念頭に、現地にある物でできるペンと紙作りを計画の柱に据えた。
 実際に作れるかの検証では学校周辺で木の枝を集め、先をカッターでとがらせるなどして付けペンができることが分かった。紙は試行錯誤の末、野菜くずをすりつぶして薄く伸ばし、自然乾燥させるとうまくいった。枝の付けペンで野菜紙に文字が書け、最終的には「単語かるた」も完成。
 手軽にできるペン、自然に戻せる紙を学校や家庭で利用すれば、識字率の向上を目指せるのでは-などとまとめた。11月に発表動画を期間限定で公開。12月2日にオンラインで質疑応答があり、参加校やJICA職員らが投票した結果、1位に輝いた。
 JICA九州は「裏付けをしっかり取って計画を作り上げたのがポイントでは」、同校の土橋敬一教諭も「実現可能なところが評価されたのでは」と話した。4人は「苦労して作った計画が本当に問題解決になるのか不安だったが、認められてうれしかった」「今後も国際的な問題に興味を持って生活したい」などと語った。


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