便座に角度、排便しやすく 長崎の内科医が発明 市販化へ地元企業募る

排便を促すため15度の角度を付けた「楽々排便」の試作器

 洋式トイレの便座に角度を付けると、前かがみになって排便がしやすくなることに着眼した長崎市滑石3丁目、いとう内科医院の伊東昭郎院長(69)が、排便を促す便座を発明し特許を取得した。「楽々排便」と名付け、実用化と市販化に向け協業する地元企業を探している。
 伊東院長は消化器が専門。慢性的な便秘の患者が多く、子どもが腹痛を訴える原因のほとんどが便秘だと指摘する。「下剤に頼らず、苦しむ人を助ける方法はないか」と考え続ける一方、人の肛門から直腸にかけて、ほぼ直角に曲がり大腸内視鏡(カメラ)を通しにくい点に注目した。
 ロダンの彫像「考える人」のように、肘を大腿(だいたい)部に着けて前傾姿勢になると、直腸と肛門の角度が開き、便が出やすくなるとされる。だが、多くの市販の洋式トイレ便座の角度は床と並行。そこで、伊東院長が便座の上に段ボールを重ねて10~15度傾けると、直腸と肛門の角度がより直線的になった。

「楽々排便」図

 20個を試作し、院長自ら試したところ排便が楽になり、小学校高学年の患者の便秘も改善した。排便促進洋式便座として2020年5月に特許出願し、21年9月に取得した。
 既存の便座に重ねるタイプのほかにも、角度付き便座をロデオマシンのように前後左右に揺らして腸を刺激する機能も想定。このアイデアを具現化できる事業者を探している。
 伊東院長は「将来『楽々排便』がスタンダードなスタイルの便座になれば下剤の減量、便育、排便ケアに貢献できる。地元企業に製品化してもらえると地域の活性化にもつながる」と話している。


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