【新型コロナ】塩野義製薬が飲み薬の承認申請 国内製薬会社で初

 塩野義製薬(大阪府)は25日、かねてより開発していた新型コロナウイルス感染症の飲み薬の承認を厚生労働省に申請したと発表した。承認されれば、国内の製薬会社が開発した初めての、新型コロナウイルス感染症に特化した飲み薬となる。

初期の臨床試験428人のデータで申請

「条件付き早期承認制度」の適用を希望

 塩野義製薬は25日、開発中の新型コロナウイルス感染症に対する飲み薬について、厚生労働省に薬事承認の申請を行ったと発表した。今回は早期に実用化し治療に役立ててもらうため、進行中でまだ結果が出ていない最終段階の治験ではなく、その前段階の安全性と有効性を確認する段階の治験(被験者428人)のデータをもって申請したという。

 同社が開示した治験結果は、オミクロン株の感染が拡大した時期を中心に、12歳以上の軽症から中等症の新型コロナ患者428人に対し投薬した結果をしめすもの。感染確認から5日以内に「1日に1回、5日間」投与したところ、薬の投与を3回受けたグループでは、感染力のあるウイルスが検出された人の割合が10%未満で、対照群(偽薬を服用したグループ)より有意に低かったとしている。また鼻水や鼻づまり、喉の痛み、せき、息切れといった呼吸器の症状について改善がみられたほか、副作用も軽微だったという。一方、疲労感や体の痛みなど12の症状に対しては、対照群との差は出なかった。

 同社では現在2000人規模の最終段階の治験も進めているが、この治験結果で有効性の高さが認められたとして、世界に先駆け日本で申請を行った。申請にあたり、今回の臨床試験の追加解析データの速やかな提出、また、現在行なっている最終段階の臨床試験での評価を迅速に行い、結果が得られ次第こちらも速やかに提出するとしている。また今後、承認されれば来月末までに100万人分、4月以降は年間1000万人分生産する体制を整えている。

 申請を受け、定例会見で質問を受けた後藤厚生労働大臣は、「優先かつ迅速に審査を進め、安全性や有効性が確認された場合には速やかに承認の手続きを進めたい。承認時期はできるだけ早くと考えている」と述べた。

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