再使用太陽光パネルで電力供給 九州初、オンサイトPPAモデル JR西日本プロパティーズ

リユースの太陽光パネルを設置したオンサイトPPAモデル=長崎市、神の島センタービル

 不動産分譲、賃貸事業のJR西日本プロパティーズ(東京)は、長崎市神ノ島町の同社所有ビルの屋上に、九州で初めてリユース(再使用)太陽光パネルを用いたオンサイトPPAモデルを導入する。小売電気事業者の五島市民電力(五島市)が発電事業者となり、4月から稼働する予定。
 同社九州支社(長崎市)は2021年9月、五島市民電力から、太陽光や風力などの電力供給を受け、同支社が契約するすべての電力を5年以内に五島産電力か再生可能エネルギーで調達する「五島版RE100」の島外認定事業者第1号。同支社の不動産などから排出される二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにする計画。
 今回、オンサイトPPAモデルを導入するのは、同支社などが入居する神の島センタービル。五島市民電力の業務を担う離島エネルギー研究所(五島市)が同ビルの工場棟屋上にリユースの太陽光パネル272枚を設置。この太陽光設備をリース契約した五島市民電力が同ビルに電力を供給する仕組み。リース契約期間満了後、太陽光設備はJR西日本プロパティーズに譲渡される。

リユース太陽光パネル活用のオンサイトPPAモデル

 太陽光パネルは国内メーカー製。出力は計約49キロワット。太陽光パネルで発電した直流電力をビル内で使う交流電力に変換するパワーコンディショナーの出力は計25キロワット。発電した電力は自家消費する。同ビル内で必要な電力量に対する供給割合は約30%を見込む。
 太陽光パネルをリユースするメリットについて、JR西日本プロパティーズ九州支社は「太陽光パネルの廃棄抑制やパネル製造時に発生する二酸化炭素(CO2)の削減ができる。パネルの導入コストが抑えられ、リース契約期間の短縮により、設備が譲渡された後、自家消費分の電力購入費用が不要になる」と説明。発電電力には再生可能エネルギー発電促進賦課金がかからないため、料金が抑えられる。
 同支社は、賃貸オフィスビル「Jプロ新大工ビル」(長崎市伊勢町)で使用するすべての電力も五島市民電力から調達し、CO2排出を実質ゼロにしている。

◎オンサイトPPAモデル(自家消費型太陽光発電設備による電力受給契約)とは

 建物所有者以外の第三者(発電事業者)が発電設備を設置し、電力を供給。維持管理は発電事業者が行う。建物所有者は、初期費用をかけずに発電設備を導入できる。


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