4月から成人年齢が18歳に…トラブル増加の懸念、高まる学校教育の重要性

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。2月11日(金・祝)の放送では、特別企画「モニフラZ議会」を開催。Z世代の論客が成人年齢引き下げに伴う課題と、“学校教育のあり方”について議論しました。

◆成人年齢18歳引き下げによる変化は?

4月から成人年齢が18歳へと引き下げられますが、まずはそこで何が変わるのかを確認。1つはクレジットカードやローン、そして携帯電話の契約が可能となること。そして、有効期限10年のパスポートの取得。さらには、性別変更の申し立てや訴訟の提起、公認会計士など国家資格の取得などができるようになります。

こうした変化により18歳の新成人が消費者トラブルに巻き込まれることが懸念されますが、2020年度の消費者トラブル件数を見ると、18・19歳は4,820件。それに比べ成人である20~24歳は約7,741件と1.6倍。これは20歳以上が「未成年者取消権」が使えないことが1つの要因となっています。

この結果もあって、成人年齢が引き下げとなる4月から消費者教育として資産形成などの授業を高校の家庭科で実施することに。契約の重要性や消費者保護の仕組み、株式や投資信託、保険などの特徴についても学ぶことになります。

消費者教育について、作家で起業家の小幡和輝さんは「やっとかという感じ」と実感を述べます。小幡さん自身は起業したこともあり、経営や金融などを学びましたが、世間的には「(経営や金融、資産形成などに関する)リテラシーの差が相当あると感じている。これは良くない」と指摘。「学ぶか、学ばないかはその人が判断すれば良いが、理解できていないことが問題。それが学校教育でなされるのはすごく良いこと」と新たなカリキュラムを歓迎します。

日本は資本主義社会でありながら"お金に対してあまり語るものではない”という風潮がありますが、学校で生徒たちに何をどう教えるのか。ガーナで"カカオ革命”を起こす起業家・田口愛さんもそこを注視し、現状では外部人材の登用もOKとされているものの「学校の先生は、今後教員免許を取ろうとされている方は勉強されるかもしれないが、今すでに教壇に立っている方はどのようにして教える内容を覚えるのか」と憂慮。

一方、アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは「しわ寄せが教員に向く」と教員への負担増を危惧。消費者教育に加え、4月からは「公共」という新科目もスタートしますが、「カリキュラムの変更に加え、クラス内に成人と未成年が混在する。これがどうなるのか」と案じます。

さらに、国内外の遺児を支援する「一般財団法人あしなが育英会」でも活動する阿部さんは、奨学金に関する担任の先生の負担の大きさにも不安を感じていると言い「生徒一人ひとりの家庭状況を把握し、奨学金の制度を教えてくれる授業もないので授業外で提案しなければならない。そういったところは先生のスペックによる部分が大きく、学校単位で進めていけるようになれば」と望みます。

◆成人と未成年が混在…学校教育に求めることとは?

小幡さん、田口さんとも起業に際して経営や金融を独自で勉強し、「ひたすらネットで検索した」と話す2人にキャスターの堀潤は驚きつつ、失敗や詐欺などに対する防衛策について質問します。これに田口さんは「やりながらトラブルに遭う前に勉強し積み重ねてきたが、予め概念として把握しておければ、もっとスムーズにやれたと思うことは多い」と返答。

小幡さんも起業時にはトラブルが山積していたそうで「ミスはしょうがない。取り返しがつく失敗をたくさんすればいい。ただ、『お金は借りるな』とみんなに言っている」と持論を述べます。というのも、自分のお金で失敗する分にはゼロになるだけ。それでいろいろ経験し、自分の能力値が上がる分には良いものの、お金を借りて失敗するとマイナスになるため「そこは慎重に、自分の持っているリソースの範囲内でいろいろやってみるといい」と主張。

また、阿部さんも指摘していたクラス内に成人・未成年が混在することについても大きな懸念点が。それは、18歳以上が契約できることで「マルチ商法」や「名義貸し」などがクラス内で横行してしまう可能性です。

これに阿部さんは「18、19歳は大手銀行のカードローンが組めないという方向で進んでいるので借金の心配はある程度解消されるが、問題なのは同じクラスの子からの借金。それを解決できるのもやはり学校の先生、生活指導」と言います。

また、18歳が成人になると保護者の協力が得られなくなってしまうという問題点がありますが、そこは文科省が保護者と準ずるとして両親からの協力が得られるよう通達したとか。しかし、「その通達がどの程度の実行力を持つのかやってみないとわからない。これは、適宜議論していい方向で進めていくことが必要」と阿部さん。

一方、田口さんは今回の成人年齢引き下げにあたって、性別に関する異議申し立てや訴訟など「個人の意思が尊重されて良いと思う面もたくさんある」と言いつつ、「教育するとはいえ、そのセーフティネットとなる法律を新たに作るなどの今後の動きも気になる」とトラブルに対する不安を口にします。

かたや「学校教育との連携は非常に重要」と改めて主張していたのは小幡さん。「さまざまなリテラシーやマルチのことなども含め、これまで学校ではやってきていないと思うので、しっかりやってほしい」と注意を促していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

© TOKYO MX