<心新たに 2022年春・2> テニス 今里翔吾(海星高→明大) 県勢男子、初のメダル 次は鳥井と一緒に国体V

インターハイで3位になった時のラケットを手に「次こそ日本一を」と誓う今里=長崎市、海星高テニスコート

 4強入りを決めた瞬間は「実感が湧かなかった」。昨夏のインターハイ男子個人ダブルス。今里翔吾は鳥井俊作とのペアで3位に入り、団体も含めて長崎県勢男子として初のメダルをつかんだ。頭は冷静でも「体がどくどくと熱くなった」感覚は、今も忘れられない。
 強豪柳川(福岡)のペアとの準々決勝。8ゲーム先取の試合はサービスゲームを2度ブレークされ、2-5の劣勢だったが「得意なリターンで勝てた」。2人で相手の強打を粘り強く返しながら逆転に成功。最後は相手のサーブミスで試合が決まった。
 「誰よりも相手選手の動きを見ている」と言い切るほどの分析力、長時間の試合でも足を止めないスタミナが最大の強み。身長169センチと小柄ながら、そのハンディを補っても余りある負けん気の強さも武器になった。年々、ボールへの反応は鋭くなっていった。
 海星が県高総体団体で20連覇を達成した翌2019年に入学。東口嵩監督から「相手をどう動かしていくか、駆け引きがうまかった」と期待を寄せられ、1年生で唯一、夏のインターハイメンバーに名を連ねた。

鳥井(後方)とペアを組み、インターハイ個人ダブルスで3位入賞した今里=長野県松本市、浅間温泉庭球公園

 ここからさらに成長を促したのが鳥井の存在だった。自らの「拾ってつなぐ」スタイルとは対照的に、強打で押す攻撃型のライバルと「相乗効果でお互いが力をつけていけた」。自分で工夫しながら肩周りのトレーニングも続け、課題だった“一振り”の力強さを身につけていった。
 全国3位の実績を持って、卒業後は明大に進む。団体日本一への貢献を第一目標に、規律と礼儀を重んじる関東1部の強豪での挑戦が始まる。プレーヤーとしてだけではなく、人間性も大切に「長崎の中高生から憧れられる」選手になるのが理想だ。決まり事の多い寮生活も「社会に出る前の準備」。新たなステージへの心構えは、もうできている。
 もう一つ叶えたい「日本一」がある。昨秋、中止になった国体だ。高校3年間の集大成にするはずだった大舞台。そこに鹿屋体大に進む鳥井と一緒に立って、今度こそ優勝したい。海星の少年ペアから県の成年最強ペアへ。次の再会は県代表1次選考を兼ねる4月の佐世保トーナメント。ここからまた、2人で勝ちにいく。


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