バンドーン、MSRとの契約は「ぎりぎりだった」IMSA参戦は現状セブリング12時間の1回限り

 元マクラーレン・ホンダF1ドライバーのひとりで、現在はABB FIAフォーミュラE世界選手権で活躍しているストフェル・バンドーン。彼は3月16~19日にアメリカ・フロリダ州で開催されるセブリング12時間レースでメイヤー・シャンク・レーシング(MSR)に加わり、エリオ・カストロネベスに代わってIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最高峰クラスを戦う60号車アキュラARX-05をドライブする。

 メルセデスEQフォーミュラEチームのドライバーは、この機会は「1回限り」であると述べたものの、同チームから別の機会を得ることを完全に否定しているわけではないと語った。

 既報のとおりバンドーンはIMSA第2戦セブリングの週末において、デイトナ24時間で優勝したチームに参加し、同じ週末にテキサスで開催されるNTTインディカー・シリーズに参戦するカストロネベスの代役を務める。
 
 彼とアキュラARX-05をシェアするのはMSRのレギュラードライバーであるトム・ブロンクビストとオリバー・ジャービスのふたりだ。バンドーンとブロンクビストは2021年のWEC世界耐久選手権で、ともにイギリスのLMP2チームであるJOTAに所属。28号車オレカ07・ギブソンをショーン・ゲラエルとシェアして6戦中4戦で表彰台を獲得した。

 バンドーンによると、彼にとってIMSAデビュー戦となる今回の代役参戦を実現に導いたのは、元チームメイトのブロンクビストだったという。

「通常、シャンク(マイケル・シャンク/MSRの共同オーナー)が行っている耐久レースでは、エリオ(・カストロネベス)とシモン(・パジェノー)のどちらかがレギュラードライバーに加わってレースに出場する」と彼は説明した。

「彼らは実際にトムとオリー、エリオ、シモンの4人でデイトナ24時間を走ったが、ふたりともインディカーに参戦しているため、日程が重なっているセブリングの週末には参加できないことになった」

「もともと彼らはプライベートジェットを使って移動しIMSAとインディカーの両方に参戦することを考えていたと思うが、ロジスティック的にそれが困難になってしまった」

「そうしたなか、トムはチームに誰を迎え入れたらフィットするか、という話をチームとしていた。彼は昨年、JOTAで一緒にレースを戦った過去の関係から、僕をチームに推薦してくれたんだ」

■追加の出場機会を得ることに前向きなバンドーン

2022年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦デイトナ24時間レースで優勝したメイヤー・シャンク・レーシング

 バンドーンは、「僕たちのコンビネーションは多くの点で素晴らしいと思う」と続けた。

「なぜなら耐久レースを戦うという面においてお互いのことを完全に理解しているからだ。シートも同じものを使っているんだ。実際にそうしたことは多くのことを簡単にする」

「(MSRとの契約は)とてもぎりぎりだった。けれど、IMSAのレースに参加する機会を得て、セブリングでも初めてレースをすることができることになり、とてもうれしく思っているんだ」

 バンドーンはフォーミュラEをフルタイムで戦っている間、IMSAのスポーツカーレースやMSRでの追加の出場機会を得ることに前向きであると語ったが、現在のところオハイオ州に拠点を置くチームへの2度目の合流の可能性は低いと認めた。

 第2戦セブリング12時間を欠場するカストロネベスは、60号車アキュラのサードドライバーとして、シーズン中盤のワトキンス・グレン6時間と最終戦プチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)に参戦し、全部で4つの耐久レースで構成される“IMSAミシュラン・エンデュランスカップ(IMEC)”のシーズンを全うする予定だ。

「当然、チームは(IMECの次戦以降)エリオとシモンに戻すと思うが、実際のところは誰にもわからない」と語ったバンドーン。

「何かあれば対応できると思うけど、現時点では1回きり。僕が参加するのはセブリングだけだ。少なくとも僕たちは今回の件で関係を築き、そして将来を見据えることになる」

第2戦セブリング12時間でのIMSAデビューが決まったストフェル・バンドーン

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