合意できなかった労使交渉 主に金銭面の希望条件に大きな開き

メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会は交渉期限とされていた日本時間3月2日午前7時までに労使交渉を合意させることができず、レギュラーシーズンの開幕延期と短縮が正式決定された。両者はカウンター(対案)を投げ合う形式で交渉を続けていたが、一体どの部分で合意できなかったのだろうか。「MLBトレード・ルーマーズ」のティム・ディアークス記者は、各メディアが報じた情報をもとに両者が提示した案を整理している。ここでは、それをもとに両者が求めていた条件を確認していこう。

◆最低保証年俸
機構側:2022年は70万ドル、毎年1万ドルずつ上昇し、2026年は74万ドル
選手会:2022年は72万5000ドル、2023年は74万5000ドル、2024年は76万5000ドル、2025年以降は消費者物価指数に応じて上昇

◆ぜいたく税の対象ライン
機構側:2022~24年は2億2000万ドル、2025年は2億2400万ドル、2026年は2億3000万ドル
選手会:2022年は2億3800万ドル、2023年は2億4400万ドル、2024年は2億5000万ドル、2025年は2億5600万ドル、2026年は2億6300万ドル

◆FA移籍に伴うドラフト指名権の補償
機構側:FA選手を獲得した場合のドラフト指名権喪失を撤廃するが、FA選手が流出した球団に補償指名権が与えられる点は変更なし
選手会:特に提案なし

◆調停前ボーナスプール
機構側:年間3000万ドル
選手会:年間8500万ドルからスタートし、毎年500万ドルずつ上昇

◆年俸調停権
「スーパー2」対象者はサービスタイム2年以上3年未満の上位22%で変わらない予定(選手会が対象者拡大の要望を取り下げ)

◆サービスタイム操作対策
機構側:所属選手が3年目までにMVP、サイ・ヤング賞、新人王の投票でトップ3に入った場合、その球団に2つのドラフト指名権を与える(新人王投票1位または2位の選手には1年分のサービスタイムを与える)
選手会:新人選手がポジション別のWARでリーグ5位以内(捕手・内野手・DH)またはリーグ15位以内(外野手・先発投手・救援投手)に入った場合、その選手に1年分のサービスタイムを与える(球団に2つのドラフト指名権を与える機構側の案は受け入れる意向)

◆タンキング対策
機構側:全体5位までの指名権が抽選対象
選手会:全体7位までの指名権が抽選対象(ポストシーズン進出を逃したすべての球団が抽選に参加し、全体8位以降は勝率の低い順に指名)

◆収益分配制度
機構側:アスレチックスを収益分配金の受け手に戻すことを検討
選手会:スモールマーケット球団の支出増を目指す(各球団から資金を集めて分配)

◆ポストシーズン拡大
両者が合意し、今季から出場枠が10球団から12球団に拡大される予定

◆ユニフォーム広告
機構側:ユニフォームとヘルメットに広告枠を設けることを検討
選手会:機構側の案に同意せず

◆国際ドラフト
機構側:導入を提案
選手会:導入に反対

◆マイナー降格回数
両者が合意し、今季から1人の選手をマイナーへオプション(降格)できる回数が1シーズン5回までに制限される予定

◆ルール変更
機構側:ピッチクロックや守備シフト制限などのルール変更を正式な提案から45日後に実施できる権限を求めている
選手会:1年間の現状維持を求めている

◆ユニバーサルDH
両者が合意し、今季から導入される予定

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