FIA-F4王者の野中誠太がスーパーGTテストに初参加「先輩方から学んで、結果に繋げられたら」

 2月28日〜3月1日、岡山国際サーキットで行われたGT3特別スポーツ走行には、2022年にスーパーGTに出場するチームの車両が10台参加した。これに加え、つちやエンジニアリングとヨコハマが人材育成のために取り組んでいる“研修”のような活動のために、2019年まで活躍したHOPPY 86 MCが走行した。今季チームに加わった2021年FIA-F4チャンピオンの野中誠太も初めてのGT300車両をドライブしたが、近づく開幕に向け、今季への意気込みを聞いた。

 野中は2000年埼玉県生まれ。2008年まで全日本カートのOKクラスで活躍し、2019年にFIA-F4にステップアップ。初年度はランキング8位、2020年はランキング3位と順位を上げ、2021年は悲願のFIA-F4チャンピオンを獲得した。

 2022年は全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権への参戦も濃厚だが、一方で初めてのスーパーGT参戦のチャンスをつかんだ。HOPPY team TSUCHIYAを率いる土屋武士監督は、TGR-DCで講師も務め以前から野中のことを知るが、野中がもつポテンシャルを見込み、松井孝允のパートナーとして抜擢したのだ。

 すでに野中は2020〜21年はKTMSからスーパー耐久にも参戦しており、ハコのレーシングカーは経験済み。今季はCSI RacingからトヨタGRスープラGT4もドライブする。多忙なシーズンとなりそうだが、スーパーGTでは2月28日〜3月1日の岡山で、今季初のテストに臨んだ。

 ただ、チームが今季投入するGT300規定のGRスープラはまだ未完成。つちやエンジニアリングとヨコハマが取り組む人材育成のための走行に参加するかたちだったが、2021年末の初顔合わせ後、野中にとってチームとの初めてのサーキットでの仕事となった。

「スーパーGTでは初めてのチームなので、他のチームがどうかは分かりませんが、土屋武士さんをはじめ、つちやエンジニアリングという名門チームですし、長年トップチームとしてやっている経験がチームの雰囲気にも出ています。パッと入って『信頼できるチーム』と感じることができました」と野中は初めてのテストで受けたHOPPY team TSUCHIYAの印象を語った。

 2日間の走行では、その趣旨や2日目のウエットコンディションもあり、野中の周回はかなり少なかったが、それでも「86 MCはすごく印象が良かったです。まったくクセがないというか。クルマも仕上がっている状態ですし、慣れるスピードも早く、いろいろなことを感じることができました。ただ自分の走りはもちろんですが、今後GT500が一緒に走ったり、台数が増えたときの走らせ方のほうが不安はありますね」と初めてのGT300車両に好感触を受けた様子。

 当然、フォーミュラに近いレーシングカーであり、ずっとフォーミュラで育ってきた野中にとって違和感が少ない車両だったはずだ。もちろん今後、新しいGRスープラが登場したときには松井とともに開発を担わなければならないが、86 MCは良い“物差し”になっただろう。

 HOPPY team TSUCHIYAはこれまでも山下健太や、FIA-F4初代王者の坪井翔など、若手ドライバーがスーパーGTでの経験を積み、GT500のトップドライバーへと育っていったチーム。同じFIA-F4王者である野中にも、同様の期待がかかるだろう。

「山下さんや坪井さんのように、このチームから育ってGT500に上がっている先輩がいますし、そういう流れがあります。もちろん僕が目指すところもそこではありますし、ある意味頑張れば道は見えていると思います」と野中は将来を見据えるが、まずはこのチームでしっかりと経験を積むことが大事だという。

「ひとつひとつしっかり経験することに集中したいと思いますし、まわりの期待やプレッシャーも今まで以上に増えてくると思います」と野中。

「そのあたりは、昨年FIA-F4で、自分のなかでもすごく大きなプレッシャーや環境のなかで結果を残せた部分もあります。ドライバーとして自信になっている部分でもあるので、それを良い意味で繋げ、ルーキーらしく松井さんをはじめ先輩方から学んで、結果に繋げられたらと思っています」

岡山国際サーキットでのGT3特別スポーツ走行を走るHOPPY 86 MC
岡山国際サーキットでのGT3特別スポーツ走行で初めてHOPPY team TSUCHIYAでの仕事をこなした野中誠太(右)と松井孝允(左)
2021年のFIA-F4チャンピオンを獲得した野中誠太

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