糸魚川市来海沢地滑り災害から1年 日常回復へ先見えず

◇西側地域 再度の避難指示 融雪期の安全確保

 糸魚川市来海沢で昨年3月4日深夜に発生した地滑り災害から、4日で1年になる。昨年10月20日、県道上町屋釜沢糸魚川線の西側地域の一部・2世帯6人を除き避難指示が解除され、一定の節目を迎えたものの、完全な解除、日常生活の回復には、まだ先が見えていない。2月14日から、融雪期の安全確保のため西側地域全体の7世帯17人に対し、再度の避難指示が発令された。4月下旬まで続く見通し。

地滑り発生から1年が経過する糸魚川市来海沢地区(3日午後0時40分ごろ)

 同災害では3月4日午後2時、来海沢地区の全域と御前山・市野々地区(計23世帯37人)に避難勧告(当時の名称)が発令された。住民は、権現荘などで避難生活を送った。その後、4月3日に来海沢の県道東側地域(12世帯14人)、同10日に御前山・市野々地区(2世帯4人)、10月20日に西側地域の一部(5世帯11人)の避難勧告・指示が解除された。この間も、大雨などで発令と解除を繰り返してきた。冬期間は、避難指示の対象者と希望者が市営住宅などに避難している。

 市消防本部消防防災課によると、同災害での人的被害はなく、住宅被害は3件(全壊2件、半壊1件)、非住家被害は3件(全壊3件、倉庫等は含まず)だった。農地、農業用施設等も被害を受けた。県糸魚川地域振興局農林振興部によると、昨年10月末までに土砂搬出などの応急工事が完了し、新年度から復旧工事に本格着手する。

応急工事が完了した地滑り発生現場(昨年11月4日、県糸魚川地域振興局提供)

 災害から1年が経過し、神喰重信区長(71)は「早かった。特に最初の1~3カ月はあっという間だった」と回顧。発生後に3世帯減少し「厳しい現実だが、復旧復興へ地元でできることは自分たちでやり、工事促進に協力し、早期復旧を願いたい」と話した。現在は「融雪期の再発を心配している」とし、2月23日に同市島道で発生した雪崩災害を重く受け止め、犠牲者の冥福を祈った。

◇米田市長 精神的ケアに対応

 3日の市議会一般質問で米田徹市長は、住民の精神的ケアについて「地区役員、住民との情報共有の場を定期的に設け、対策工事の進ちょく状況をお伝えする他、地区からの要望等に対応している」と説明した。田原洋子氏(無所属)への答弁。

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