中学生に筋トレは必要か、スイングスピードを上げるには… 強豪ボーイズの監督が回答

京葉ボーイズ・関口勝己監督【写真:荒川祐史】

中学生は「ちょっと重いものを10回程度あげられるくらいでいい」

中学チームの強豪・京葉ボーイズを率いる関口勝己監督は明大を経てNTT関東(現NTT東日本)で選手、指導者として活躍。2009年から京葉ボーイズの指導に当たり、全国大会3度に導き、プロ野球選手も育てた。ここではFirst-Pitch読者の質問に答える形で野球上達につながるポイントを語ってもらった。

――中学では軟式と硬式、どちらを選択した方がいいでしょうか

「どちらでも構わないと思います。高校で入学してすぐにレギュラーになってバリバリやりたいというのであれば、硬式球に慣れておいた方が有利というのはありますが、それくらいの差しかないと思います。軟式でも硬式でも、きちんとした野球を教えてくれる環境を選ぶことが大事だと思います」

――中学年代で筋肉はつけた方がいいでしょうか

「中学生は筋肥大させる必要はありません。ちょっと重いものを10回程度あげられるくらいでいい。骨に刺激を与えて身長も伸びますから。筋肥大させてしまうと成長にも悪影響があります。OBでロッテに入団した池田来翔(内野手、習志野高から国士舘大を経て昨年のドラフト2位指名)も中学生の頃は線が細かったですが、高校、大学と進んで体重が増えることで打球をより飛ばせるようになり、より遠くに投げられるようになり、足も速くなりましたから」

――バットの選び方を教えてください

「自分に合ったバットの重さは分かっておいた方がいいでしょう。中学生なら840~860グラムくらいが標準です。重いバットの方が打球が飛ぶということはありません。バットが重すぎるとヘッドスピードが上がりませんから飛距離も伸びません。プロや社会人などでは投手の球速が上がり、ボールを動かしてくることもあって、操作性を重視して軽いバットが好まれるようになっています。私の現役時代などは920~930グラムが当たり前でしたが、最近は880~890グラムくらいが標準です。あまり軽すぎても逆に操作しづらくなります。重すぎず、軽すぎず、自分でしっかりフルスイングできるバットの重さを覚えておきましょう」

少年野球ではおすすめできない“フライボール革命”

――スイングスピードを上げる方法を教えてください

「よくウエーティングサークルでマスコットバットを振る光景を目にしますが、スイングスピードのアップにはつながりません。重いバットを振った後に普通のバットを振ると、軽くてヘッドが走るような感じがするかもしれませんが、実際にスピードは上がっていません。スピードを上げるにはノックバットのような軽いバットをブンブン振って、筋肉に速さを覚えさせて打席に立つ方が効果的です。プロがマスコットバットを振るのはフォームや軌道を意識するためで、それを小中学生が真似しちゃダメ。重すぎるバットを振っても筋力強化くらいにしかなりませんよ」

――バレルゾーンは意識した方がいいでしょうか

「バレルゾーンとは20~30度のヒットになりやすい打球角度のことです。中でも26~30度はホームランになる確率が上がるといわれており、京葉ボーイズでは子どもたちにフライを打つように指導をしています。ボールを上から叩くとゴロになってしまい、長打になる確率が下がってしまいますし、下からしゃくり上げて40~50度の角度がつくとポップフライになってしまいます。バレルゾーンに打球を飛ばすには、投球が重力によって約10度落ちてくるので、その軌道に合わせてバットの面を向けて平行にスイングすることを心がけましょう」

――同じく打球に角度をつける理論にフライボール革命があります

「フライボール革命はバットをボールに対して10~19度下から入れ、ボールの中心の6ミリ下側をインパクトすることで打球に角度をつける理論です。ケタ外れのパワーがあるメジャーの長距離打者は飛距離を伸ばせますが、ボールを捉える部分が小さくなるため空振りが増えてしまうマイナス面もあり、少年野球ではおすすめできません」

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