勝率8割超…DeNAの“大変身”は本物? 三浦監督が称えた「一ゴロ」が象徴

DeNA・神里和毅【写真:小谷真弥】

三浦監督が「非常に貴重な1つのアウト」と称えた一打

■DeNA 7ー2 広島(オープン戦・3日・横浜)

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昨季セ・リーグ最下位のDeNAが強い。3日に本拠地・横浜スタジアムで行われた広島とのオープン戦に7-2で快勝。今季の練習試合、オープン戦を通じて6勝1敗1分(勝率.857)の快進撃を見せている。偶然で勝っているわけではない。昨季チーム盗塁数が12球団ワーストの31に終わった“走力”を大幅にアップさせ、強打者が並んでいる割に拙攻が目立っていた打線に“つなぐ野球”を導入する試みが、功を奏している。

三浦大輔監督は「もちろんシーズンに入れば、こんな風にずっとうまくいくわけがない」と気を引き締めるが、表情には手応えも。「とはいえ、オープン戦でできないことは、公式戦でもできない。オープン戦でやりたいことができているのは、いい傾向だと思います」と微笑んだ。

走力アップを掲げる首脳陣は、まず走る意識を高めようと練習試合とオープン戦で全選手に「グリーンライト」(いつでも自分の判断で盗塁できる権利)を与えることを決めた。三浦監督は「もちろん、シーズンに入ったら選別しますが、今は全員が(グリーンライトを)持っています。(足が速くない)戸柱も持ってますよ!」と明かす。この日は、4回に代走で出場した育成ドラフト3位の新人・大橋が立て続けに二盗、三盗を決めて存在をアピールした。

DeNA・宮崎敏郎【写真:小谷真弥】

宮崎が見せた“つなぐ姿勢”「チーム全員が同じ方向に向かっている」

進塁打、送りバントを絡めた“つなぐ野球”への変革も、大命題だ。この日の2回、先頭の牧が右中間フェンス直撃の二塁打で出塁すると、続く宮崎はカウント2-2から、2球続けて内角球を無理矢理一塁方向へおっつけ、いずれもファウルとなった。結局は7球目に死球を食らったが、進塁打でつなぐ姿勢は明確に。宮崎は「チーム全員が同じ方向に向かっている。チームメートみんなに浸透していると思う」とうなずいた。

そもそも沖縄・宜野湾キャンプでも、実戦形式の「ケース打撃」で、強打者の宮崎が送りバントを決める姿に、評論家陣は目を丸くした。宮崎は昨季までのプロ9年間で、犠打はゼロ。送りバントを決めたことは1度もないだけに、チーム改革の象徴とも言える光景だった。

4回無死二塁では、それまでの2打席連続で三振に倒れていた神里が、一ゴロを打って走者を三塁に進めた。三浦監督が試合後に「非常に貴重な1つのアウトだった」と称えた場面だった。今季は新たに、OBで現役時代に盗塁王4度を誇った石井琢朗野手総合コーチ、首位打者2度の鈴木尚典打撃コーチが加わり、選手たちの背中を押していることも、変化の兆しが見える要因だろう。

「昨年はみんな悔しい思いをしたので、同じことはできない」と語気を強める三浦監督。公式戦でも生まれ変わった姿を見せつけることができるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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