五島に宿泊滞在施設 8月オープン カラリト代表 平﨑さん「飾らない自分に返る場に」

8月オープン予定の「カラリト五島列島」のイメージ図

 長崎県五島市大浜地区で8月、宿泊滞在施設「カラリト五島列島」がオープンする。市内の運営会社カラリトの代表、平﨑雄也さん(37)は、五島の魅力に引かれ、東京の勤務先を退社して移住した。施設のコンセプトは「飾らない自分に戻る、晴れやかな時間」。宿泊者や地元住民らとの新たな交流の場をつくろうと、準備を進めている。
 平﨑さんは熊本県八代市出身。高校卒業後、東京の大学に進学し、不動産開発会社に就職した。忙しくも楽しく過ごしていた日々。ただ、都会の暮らしは生産性や効率性を追い求めることも多く、次第に違和感を覚えるようになっていた。
 そんな前職時代、大浜地区で使われなくなっていた旧保養所を含む土地の開発を、知人から打診された。いずれは九州で事業をしたいと考えていた平﨑さんは2019年に初めて五島を訪れた。飾らず、気さくに話す地元の人たちに出会い、背中を押してくれた。すぐに気に入った。

「ポジティブに活動していける施設にしたい」と語る平﨑さん=五島市内

 しかし会社に掛け合ってもうまく進まなかった。それなら自ら開発、運営してみたいと、退社を決断。20年1月、東京の同業の仲間数人とカラリトを創業し、同7月に移住した。社名には「からりとした笑顔は社会を良くする」との思いを込めた。
 カラリト五島列島は、東京の不動産投資家の協力を得ながら事業を進めている。3階建ての旧保養所を改修し、隣にレストランや宿泊施設を新築。全48室から海を眺められ、1人から家族、グループでの宿泊に対応する。代金は1部屋1万円台~4万円台。海に面したデッキもつくる。レストランでは五島牛や新鮮な海産物など地元食材を提供。カフェやワーケーションとしての利用も歓迎。マリンスポーツなどアクティビティも充実させる。
 同社は五島を皮切りに九州で30年までに10施設をつくる計画。地域への貢献も掲げる。「愛される施設にしたい」と笑顔を見せる平﨑さん。「地元の人たちも気軽に立ち寄れるような場所になれば。飾らない自分に返り、ポジティブに活動していける施設にしたい」と意気込んでいる。


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