交流人口拡大、活力に 西九州新幹線9月23日開業 沿線3市から歓迎と期待の声

建設工事が進む新幹線の駅舎(中央右)と線路。沿線自治体では受け入れ準備が進められている=長崎市

 西九州新幹線の開業日が9月23日と正式発表された22日、長崎県内沿線3市からは歓迎と開業効果に期待する声が相次いだ。全線開業をにらみつつ当面の“ゴール”が定まり、各自治体は着実に準備を進める。
 長崎市の田上富久市長は計画通りの開業に安堵(あんど)した。「新たな訪問客を迎え入れるチャンス。交流を広げてまちの活力に変えていくため、県、沿線市、民間の方々とも連携しながら、新幹線の開業効果を最大限発揮できるよう一体となって取り組む」と期待を寄せた。
 同市はJR長崎駅で開業日のイベントを計画。当日まで「カウントダウンイベント」などを通して機運を高める。一方、長崎駅東口側の広場は2025年度中の完成を目指す。当面は必要最低限の機能を果たせるよう整備を進める方針。
 諫早市では昨夏、開業への機運醸成に向け、産学官などでつくる記念事業実行委が発足。“オール諫早”で準備を進める。
 市は新年度一般会計当初予算案に、西九州新幹線関連では13の主要事業に計4億6100万円を計上。4月には機構改革し、交流人口拡大へ受け入れ態勢を整える。開業に合わせた諫早駅周辺のハード整備も大詰め。大久保潔重市長は「実行委を主体とした取り組みを加速化させ、市民はじめ県や沿線市、島原半島3市などとも連携しながら、新幹線を生かした新たなまちづくりを全力で進めていく」とコメントした。
 官民で新幹線アクションプラン推進協議会を立ち上げ、機運醸成に取り組んできた大村市の園田裕史市長は「開業の実現を実感するとともに、1972年の基本計画の決定以降、これまでの歴史の重みを改めて感じる。開業日にはオール大村で訪れる人を歓迎したい」と強調した。
 同市の新年度当初予算案では、開業イベントの開催やPR動画の作成、駅周辺整備など新幹線関連事業に計6億1200万円を計上。新設される新大村駅東側の民間による開発事業では、優先交渉権者が決定するなど、新幹線を生かした町づくりも進めていく。
 県も開業に向けた機運醸成の取り組みを進める。沿線自治体などのPR動画を作成し順次公開しているほか、県外でのプロモーションも強化。新幹線駅からの2次交通を充実させるためタクシー会社などと連携し、仕組みづくりを急ぐ。県は「新幹線の開業効果を最大限に高め、県内全域に波及させるため準備を進める」としている。


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