オーナー4人が機構側の最終案に反対 ぜいたく税上限アップに抵抗か

「SNY」のアンディ・マルティノ記者によると、メジャーリーグ機構がメジャーリーグ選手会に対して提示した「最善かつ最終のオファー」について、4人のオーナーが反対票を投じていたようだ。労使協定の締結には30球団のオーナーのうち23球団以上の賛成が必要であり、今回は26球団が賛成していたため、話し合いを進めることができた。とはいえ、選手会に対してさらに譲歩するような状況になれば、反対票を投じるオーナーが増える可能性もあり、選手会が機構側からさらなる譲歩を引き出すのは難しいかもしれない。

機構側の「最善かつ最終のオファー」には、ぜいたく税の課税対象となる年俸総額の上限ラインを2022年は2億2000万ドルに引き上げることが盛り込まれていた。しかし、選手会は2億3800万ドルを希望しており、2022年の上限ラインが2億3000万ドルに満たないオファーは拒否する意向であるとみられている。

昨季はドジャースとパドレスの2球団が上限ラインの2億1000万ドルを突破。上限ラインまで500万ドル以内というギリギリのところに収めた球団が5つもあった。これを受け、選手会は「ぜいたく税のシステムが事実上のサラリーキャップとして機能している」と反発を強めており、上限ラインの大幅な引き上げを求めている。

上限ラインを2億2000万ドルに引き上げることについては26球団のオーナーが賛成したものの、さらに譲歩した場合、労使協定の締結に必要な23球団以上の賛成を得られる保証はない。よって、2022年に2億3800万ドルからスタートし、2026年には2億6300万ドルまで引き上げることを希望している選手会が機構側からさらなる譲歩を引き出すのは難しいだろう。

ちなみに、メジャーリーグ機構のコミッショナーは各球団のオーナーの投票によって選出されるため、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが中立の立場、あるいは選手会寄りの立場で労使交渉を主導していくことは事実上不可能。過去にはオーナー陣の反感を買ったコミッショナーが辞任に追い込まれた例もある。労使協定の締結に23球団以上の賛成が必要である以上、23球団以上のオーナーが賛成する労使協定しか成立しないのが実情だ。選手会はその範囲内で最大限の譲歩を引き出すことを目指していくことになる。

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