「原発攻撃」という狂気! ロシアの暴挙と日本の弱点|和田政宗 ウクライナの原子力発電所を攻撃するという暴挙に出たロシア。ウクライナに対して日本がすべきことは何か。そして、日本は今こそ、国土と国民を守るため何が必要かゼロベースで議論をし、必要なことを実行していくべきである。議論することすら許されなければ、日本を攻撃、侵略しようとする国にとってこれほど有難いことはないだろう。

ザポリージャ原発“占拠”、ロシアの狙い

ロシアはウクライナの原子力発電所を攻撃するという暴挙に出た。欧州最大規模のザポリージャ原子力発電所がもし爆発するようなことがあれば、欧州のみならず世界中に甚大な被害が出る。ザポリージャ原発は攻撃の後、ロシア軍に占拠されたが、ロシアは即座に攻撃をやめ、原発の安全を確保するとともに撤兵すべきである。

ロシアの狙いは何か。

ザポリージャ原発はウクライナの4分の1の電力を発電しており、ウクライナ国内に停電を引き起こすことで国民の生活に影響を与え、ウクライナの戦意を喪失させることが狙いとみられる。ロシア軍はウクライナ軍に激しく応戦され、焦りが出ている。

ウクライナ軍がロシア軍を食い止めている理由は何か。

それはまず、ウクライナが保有する兵器が威力を発揮していることにある。米国から導入してきた対戦車ミサイルの「ジャベリン」は、ロシア軍の戦車や装甲戦闘車両を破壊し、ロシア軍の進軍を食い止めている。ジャベリンの射程は最大4kmで、ロシア軍の主力戦車の射程を上回るため、ロシア軍戦車が撃つ前に破壊することが可能である。

米国はジャベリンをさらにウクライナに供与する予定だ。さらに、ウクライナ軍が持つトルコ製の無人攻撃機「バイラクタルTB2」によるロシア軍への反撃も成功している。

これに加え、何よりも強いのは国民の戦う意志だ。

ロシアの侵略にウクライナ国民一人ひとりが立ち向かっている。ロシア軍の兵士のなかには、戦闘に参加することを知らされないままウクライナに派兵された兵士もいるとされ、ウクライナ軍と国民の激しい反撃と抵抗に遭い、ロシア軍の士気は下がっている。

ロシア軍の燃料不足、食糧不足も深刻だ。

駐日ロシア大使館によるプロパガンダ

こうしたなか、ロシアは情報戦を展開し、「悪いのはウクライナ」「ウクライナ東部で虐殺があった」などと主張している。日本に対しても駐日ロシア大使館が公式ツイッターでとんでもない主張を繰り広げるなど、ロシアは身勝手に「自らの行動には正当性がある」とのプロパガンダを展開している。

駐日ロシア大使館は2月28日のツイッターで、この日に行われた参院予算委員会での宇山秀樹外務省欧州局長の答弁、「北方領土が占拠されていること、今ウクライナで起きているロシア軍の侵攻、いずれも国際法違反であると認識している」を引用し、このように発信した。

日本の外務省は、歴史を忘れています。クリル諸島は、南クリルも含め、第二次世界大戦の結果として、連合国の決定に従い法的根拠に基づいて、我が国に譲渡されました。

これは、日本が行った侵略とナチスドイツとの同盟に対する処罰の一部でもありました。

にもかかわらず事実として、日本は100年も経たぬ間に二度もナチス政権を支持する挙に出ました。かつてはヒトラー政権を、そして今回はウクライナ政権を支持したのです。

原発の再稼働とウクライナへの支援

私はこの発言は看過できないと、3月3日の参院予算委員会で、
「ロシアの主張は、明らかに歴史的事実に反しており、国際法違反の北方領土占拠を肯定するとともに、ウクライナ政権をナチス政権になぞらえるというとんでもない発言で、政府もしっかりと抗議や非難の声を上げていくべきだ」と政府に質問した。

これに対し、林芳正外務大臣は「ロシア側の主張は全く根拠はなく、到底受け入れられない」とし、「今回のロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす行為で、明白な国際法違反であり、厳しく非難をする。我が国として、断固として行動していかなければならない。こうした暴挙には高い代償が伴うということを示してまいりたい」と答弁した。

この後、政府は3月4日、ウクライナに対し、自衛隊が保有する防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、天幕、カメラのほか、衛生用品や非常用の食料、発電機といった物資を提供することを表明した。ウクライナを守るため日本は積極的に行動すべきであり、さらなる行動を政府には促したい。

そして、3月3日の参院予算委員会の審議では、私より、「ロシアのウクライナ侵略で世界的に燃料高騰や燃料危機が起きており、日本国内の電力需給が逼迫することが懸念され、安定的な電力供給のために安全基準を満たした原発の再稼働を進めるべき」と質問した。

これに対し、萩生田光一経済産業大臣は、
「原子力の再稼働は重要。再稼働が円滑に進むように、産業界に対して事業者間の連携による安全審査への的確な対応を働きかけるとともに、国も前面に立ち、立地自治体など関係者の理解と協力が得られるように粘り強く取り組んでまいりたい」と答弁した。

国民生活を守るためにも我が国としてやるべきことをしっかりやっていかなくてはならない。

「核共有」はじめ、タブーなき議論を!

我が国が、国土と国民を守るためにやるべきことは何よりも憲法改正であり、早急に進めなくてはならない。そして、我が国を守るために何をすべきかを議論し、必要なことを実行に移していくべきである。

しかし、こうした議論すらさせない、してはならないという勢力がある。

いざという時に米軍の核兵器を日本国内に配備する「核シェアリング」について議論することを安倍晋三元総理、菅義偉前総理をはじめとする方々が提起しているが、これについて一部野党は「非核三原則があり議論もしてはならない」と主張している。

また、敵基地攻撃能力の保有についてもそうである。ごく普通の国がごく普通に国を守るためにしていることを議論することすら許されなければ、日本を攻撃、侵略しようとする国にとってこれほど有難いことはないだろう。

今こそ我々は、国土と国民を守るため何が必要かゼロベースで議論をし、必要なことを実行していくべきである。先の大戦のように、また現在のウクライナのように、空襲のなかを国民が逃げ惑うという事態は絶対に避けなくてはならない。

私は政治家として信念を持って行動していく。

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和田政宗

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