光の戻ったカフェ

インドネシア人記者プトリによる、ジャカルタお薦めスポット案内です。第1弾はオランダ植民地時代に電力会社だったカフェ。

アールヌーボー、アールデコが融合した建築様式

ここがキャッシャー。注文後、テーブルまで運ばれて来る

1897年建造。「Nederlandsch Indische Gas Maatschappij (NV.NIGM)」(オランダ領東インド・ガス電力会社)のオフィスとして活躍していた

「ストルーム・カフェへ行こうよ!」と友達に誘われた時、「ああ、いつもの、現代的でミニマリストなカフェね」と思いました。行ってびっくり。「Stroom」とはインドネシア語で「setrum」、つまり、「電気」「電流」のこと。オランダ起源の言葉です。そのことも、ガンビル駅前にある国営電力会社(PLN)に向かって道を曲がった時に、初めて気が付きました。

木枠の大きな扉、レンガの壁、アンティークのランプ。オランダ時代の建築が良い状態でそのまま保存されています。ここは昔、オランダ植民政府の電力会社でした。独立後にPLNのオフィスになりましたが、長い間、使われていませんでした。カフェとしてオープンしたのは2019年のことです。

面白いのは、メニューも電気にちなんだ名前になっていること。例えば、ケーブル・ラテ、エスプレッソ・トラフォ(トランスフォーマー)、カプチーノ・アイソレーターなど。値段も1品2万〜4万ルピアぐらいとお手頃です。

さらに素晴らしいことに、ここからガンビル駅を行き交う列車を眺められます。夕方の光の中で、「アイス・アメリカーノ・ブレーカー」をすすりながら、昔の生活に思いを馳せ、「停電」していた建物に光が戻ったことをうれしく思うのでした。

Stroom Coffee
Jl. M.I. Ridwan Rais, RT.7/RW.1, Gambir, Jakarta Pusat
9:00〜20:00

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