長崎県五島市福江島で2月下旬、ナベヅルを中心とするツルの大群が飛来した。野鳥愛好家らによると、国内最大の越冬地、鹿児島県の出水平野からシベリアなどの繁殖地へ向かう北帰行の途中で、千羽近くいたとみられる。同規模の飛来は県内でも珍しいという。
観察した同市の会社員、吉田竜成さん(34)などによると、2月24日午後6時ごろ、三井楽町の白良ケ浜に降り立った。ほとんどナベヅルで、マナヅルやクロヅルも見られた。五島では初確認とみられるカナダヅルも交じっていた。翌25日午前9時すぎから約30分かけて順次、飛び立っていったという。
同市の鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンターによると、五島列島ではほぼ毎年、数羽から数十羽が上空を通過するか、降り立つのが確認されるが、これほどの規模は県内でも珍しい。同列島は渡りのメインルートから外れているため、強風など何らかの影響があったとみられる。農耕地に降りることが多いが、砂浜だったのも珍しいという。
白良ケ浜近くの男性(70)は「(24日の)夜は鳴き声が大きかった。翌朝、数の多さに驚いた」と話した。
吉田さんは、10キロほど離れた籠淵町付近の上空で隊列を組んで通過するツルの群れに気づいた。別の場所で目撃した知人からも連絡を受け、自動車で追い掛け、撮影。砂浜を埋めた光景に「圧巻だった」と振り返った。