支配下どころか開幕1軍も現実味 プロ入り前に“不運”…DeNA育成左腕に膨らむ期待

6回から2番手として登板したDeNA・石川達也【写真:宮脇広久】

育成2年目の石川達也、オリックス戦で2回を1安打無失点の好投

■DeNA 4ー0 オリックス(オープン戦・6日・横浜)

DeNAの三浦大輔監督が、2年目の育成左腕に惚れ込んだ。本拠地・横浜スタジアムで6日に行われたオリックスとのオープン戦。6回から2番手として登板した背番号「101」の石川達也投手が、2回を1安打3奪三振無四球で無失点の快投を演じた。支配下登録はもちろん、左の中継ぎとして開幕1軍まで期待は膨らむ。

この日急きょ2軍から呼ばれたばかりだったが、臆するところは全く見せなかった。6回先頭の頓宮を113キロのチェンジアップで空振り三振に仕留めると、続く山足は内角低めの144キロ速球でニ飛に。俊足の渡部にはセーフティバントで虚を突かれ、一塁手・伊藤裕の足がベースから離れるミスで出塁を許し、福田にも左前打を浴びたが、宗を143キロのストレートで一ゴロに打ち取った。

続く7回は、先頭で迎えた昨年の本塁打王・杉本をチェンジアップで、若手の成長株・太田を143キロ速球で、連続空振り三振に斬って取った。ドラフト5位ルーキー・池田には内角低めの143キロで右飛を打たせ、3者凡退。ストレートも変化球も、内角いっぱいのコースに決まる。堂々たる投げっぷりだった。

法大4年時に左手首骨折…1年をほぼ棒に振り育成でプロの世界へ

三浦監督はこれまでも、オープン戦に2軍選手を1日限定で呼びチャンスを与えてきたが、石川が与えたインパクトはピカイチ。やはり2軍から呼ばれて登板した2月22日の広島との練習試合(沖縄・宜野湾)でも、2回1安打無四球無失点に抑えている。指揮官は「沖縄でも見ましたが、投球術を持っている。フォームを少しずつ変えながら、自分のリズムは崩さず、しっかり投げ切れている」と絶賛した。

「ストライクを取りたい時に取れるし、ボールでいい時にはしっかりボールにできる」と続けた三浦監督。折しも前日の5日には、登板した8人の投手が計13四死球を乱発した。それだけに、なおさら石川の制球力が目を引いたのかもしれない。

横浜市生まれの石川は、生粋のハマっ子。横浜高3年の夏には、現楽天の藤平との2枚看板で甲子園に出場。法大進学後も、同学年の現ロッテ・鈴木、現楽天・高田孝に引けを取らない、ドラフト上位レベルの評価を受けていた。ところが4年生になった4月、鉄棒の着地に失敗して利き手の左手首を骨折。1年間をほぼ棒に振り、育成選手としてのプロ入りに回った。それでも1年目の昨季はイースタン・リーグでチーム最多タイの4勝(2敗)、防御率2.35をマーク。再び注目を集める存在になりつつある。

「支配下登録するかどうかは、俺ではなく、球団が決めることですが、1軍のオープン戦であれだけしっかり堂々と、2イニングを投げ切ったわけですから……」と三浦監督。「まず支配下を勝ち取り、その上で1軍での初勝利が目標」と掲げてきた石川の視界が、にわかに開けてきた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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