「ああいう見逃し方をされるのが嫌」 DeNA三浦監督も唸る2年目・牧秀悟の“風格”

DeNA・牧秀悟【写真:荒川祐史】

6試合で打率.471、オープンの戦首位打者に浮上

昨季最下位から巻き返しを狙うDeNAの今季4番には、2年目の牧秀悟内野手が定着することになりそうだ。6日現在、オープン戦全6試合に「4番・二塁」で出場し、12球団トップの打率.471(17打数8安打)。昨季終盤には、タイラー・オースティン外野手が左ふくらはぎの肉離れで戦列を離れた後に代役の4番を任されたが、今年はオースティンがスタメンに名を連ねた今月3日以降も不動。正真正銘の中軸を担う。

今年は1月下旬に新型コロナウイルスに感染し、キャンプインが遅れた牧。現状は「良くも悪くもない。まだまだ“球慣れ”していないところがあるけれど、焦らず開幕へ向けてやっていきたい」と言うが、はた目には出遅れの影響を全く感じさせない。

6日に本拠地・横浜スタジアムで行われたオリックスとのオープン戦では、2回に先頭打者として二塁内野安打で出塁した。相手投手の暴投と大田の一ゴロで三塁へ進み、知野の三ゴロでホームイン。いったんタッチアウトの判定を受けたが、リプレー検証の結果セーフに覆った。3回2死一、三塁の得点機には、しぶとく中前適時打。プロ1年目にしてリーグ3位の打率.314をマークした昨季同様、センターから右方向への打撃が光る。

4番で積み上げた実績 昨季も15試合で打率.517

4番について「去年の終盤は“試されている”感じがしていた」と言う。今年は「監督さんに任された打順。チャンスで回ってくることが多いので、1点を取れる打撃をしていきたい」と意気に感じている。昨季はオースティンが離脱した10月6日以降、15試合で4番を打ち、4番での打率は.517(58打数30安打)を誇った。三浦大輔監督は「去年も4番でしっかり結果を残してくれていますから、(今季4番の)イメージはあります」とうなずいた。

「4番にはでんと構えていてほしい。牧にも風格は十分ある」と三浦監督は続ける。確かに昔から、球界を代表する打者が際どいコースを見逃した場合、「これだけの大打者が見逃したのだから」という先入観からボールと判定されがちとも言われ、メディアやファンの間では「長嶋ボール」、「王ボール」といった言葉がささやかれてきた。牧にはプロ2年目にして、早くもそんな風格が漂っている。

「牧は常に打ちにいく中で見逃している。バットがよく止まる」と三浦監督。「僕は現役時代に投手として、ああいう見逃し方をされるのが嫌だった。ボールを手元まで引きつけた上で見極められている感じがして……」と“投手目線”でその脅威を語る。

チームは沖縄・宜野湾キャンプ中から、走塁、進塁打などの意識を高め“つなぐ野球”への転換をはかっている。戦術を機能させる上では、4番も固定が望ましい。「今年はチームがガラッと変わる中で、この打順を意識しながら、それでいて自分の打撃は崩さずにやっていきたい」と話す牧なら、三浦監督が求めるものに“満点”で応えてくれそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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