金子農相が政界引退へ 「時代かな」「経験還元を」 驚き広がる長崎県内 惜しむ声や期待も

 金子原二郎農相が夏の参院選に出馬せず政界引退の意向を表明した7日、長崎県内から驚きや「寂しい」と惜しむ声が聞かれ、「地元に経験を還元してほしい」との声も上がった。
 「ものすごく寂しいが、これも時代かな」。金子氏の秘書を14年半務め「政治のいろはを教えてもらった」と語るのは地元平戸市の黒田成彦市長。「(金子氏は)常に地元のことを考え、生活基盤、産業基盤の整備に政治生命をかけていた。離島への思いは人並み以上だった」とたたえた。
 生まれ育った同市生月町の舘浦漁協の鴨川周二組合長は「年齢もあって(引退も)あり得ると漠然と思っていた」と決断に理解を示した。
 佐世保市の朝長則男市長も「今後も要職に就き活躍すると期待していた」と驚きを隠さなかった。県と同市が計画する石木ダム事業を巡り、知事だった金子氏は水没予定地の強制収用を可能にする事業認定を国に申請した。市長は「覚悟を持って決断する政治家だ」と評した。
 農業にも精通していた金子氏。JAながさき西海の田中芳秀組合長は、これまでの支援に感謝し「長崎のこと、農家のことをしっかりと考えてくれる人にバトンタッチを」と要望した。
 知事時代には行財政改革や、県美術館建設など文化行政に力を入れた。2006~09年に副知事として支えた長崎総合科学大の立石暁理事長は「発想が斬新。歴史に残る実績を多く上げた」と強調。「(衆参両院議員など)これだけのキャリアの人は全国にもそういないのではないか。経験を地元の経済や文化の発展に還元してもらいたい」と期待した。
 金子氏を若いころから応援してきた蒔本恭後援会長(前県医師会長)は「長年、本県のために仕事をしてくれた」とねぎらった。


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