2月の倒産 件数・負債ともに前年同月を上回るが、件数は400件台にとどまる
2022年2月の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は、件数が459件（前年同月比2.9％増）、負債総額は709億8,900万円（同5.1％増）だった。
件数は、2021年5月以来、9カ月ぶりに前年同月を上回った。ただ、2月としては2年連続で400件台にとどまり、1990年（448件）に次ぐ低水準だった。
負債総額は、4カ月ぶりに前年同月を上回った。最大の倒産は、廃棄物処理・再生業のカンポリサイクルプラザ（株）（京都、特別清算）の負債79億円だった。負債10億円以上は9件（前年同月15件）だったが、同50億円以上が2件（同1件）と1件増加し、負債を押し上げた。一方、同1億円未満は340件（同333件）で、全体の7割以上（構成比74.0％）を占め、小規模倒産を主体とした推移に変化はない。
2月の「新型コロナウイルス」関連倒産は142件（前年同月比23.4％増、構成比30.9％）で、2021年1月から14カ月連続で100件超で推移。2020年2月からの累計は2,731件に達した。
- 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が29件（前年同月22件）
- 形態別件数：破産が412件。法的倒産の構成比が96.0％
- 都道府県別件数：前年同月を上回ったのが20県、減少19都道府県、同数8県
- 負債別件数：負債1億円未満の構成比が74.0％、2カ月連続で100億円以上は発生せず
- 業種別件数：飲食料品製造業・小売業、飲食業、医療，福祉事業などが増加
- 従業員数別件数：10人未満の構成比が87.3％、300人以上は14カ月連続でゼロ
- 中小企業倒産件数（中小企業基本法に基づく）は459件で、7カ月連続で100.0％
産業別 10産業のうち5産業で前年同月を上回る
2022年2月の産業別は、最多がサービス業他の159件（前年同月比23.2％増）で、2021年5月以来、9カ月ぶりに前年同月を上回った。美容業（3→7件）、老人福祉・介護事業（6→10件）、労働者派遣業（3→6件）などが増加した。
このほか、建設業80件（前年同月比9.5％増）は3カ月連続、製造業52件（同10.6％増）は2カ月連続、農・林・漁・鉱業8件（同300.0％増）は6カ月ぶり、情報通信業21件（同10.5％増）は9カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、小売業51件（同3.7％減）は2021年6月以降、9カ月連続で前年同月を下回った。
また、卸売業61件（同25.6％減）、不動産業11件（同42.1％減）は2カ月ぶりに、それぞれ減少。燃料価格の上昇などの影響が懸念される運輸業は16件（同23.8％減）で、6カ月ぶりに前年同月を下回った。
金融・保険業は、2021年7月以来、7カ月ぶりに発生しなかった。
地区別 9地区のうち5地区で前年同月の件数を上回る
2022年2月の地区別件数は、北海道、関東、中部、中国を除く、5地区が前年同月を上回った。東北31件（前年同月比181.8％増）は、2カ月連続で増加した。また、四国15件（同87.5％増）は2カ月ぶり、北陸17件（同70.0％増）は3カ月ぶり、九州34件（同21.4％増）は4カ月ぶり、近畿103件（同1.9％増）は9カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、中部38件（同33.3％減）、中国15件（同16.6％減）は、2カ月連続で減少した。また、関東192件（同3.0％減）は2カ月ぶり、北海道14件（同6.6％減）は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
カンポリサイクルプラザ（株）／京都府／廃棄物処理・再生業／79億円／特別清算 （社福）如水会／岐阜県／特別養護老人ホーム経営／65億円／民事再生法 ウェルビス悠愛（株）／福岡県／有料老人ホーム運営、デイサービス事業／30億円／民事再生法 ＭＱ整理（株）／大阪府／弁当・給食製造／30億円／特別清算 新世代（株）／滋賀県／電子部品・半導体設計開発／29億円／破産
