麻生氏の功罪問われ「森友問題」 派閥重鎮・鈴木財務相がばっさり 4人退会で「親分」へのショック療法か  

 8日の参院財政金融委員会で鈴木俊一財務相が前任の麻生太郎氏の功罪を問われ、いきなり森友学園問題を挙げる場面があった。一方で安倍晋三元首相の経済財政施策「アベノミクス」については高評価一色。自民党麻生派所属の重鎮閣僚による「突然のばっさり」(同党幹部)に「派内の身内につれない麻生氏へのショック療法では」(同)との見方も出ている。

 「最初に森友学園案件を真摯(しんし)に反省したい。決裁文書改ざんなどが二度と起こらないようにしていくことが大事だ」。立憲民主党の牧山弘恵氏(神奈川選挙区)から「麻生前財務相の功罪は何か」を問われた鈴木財務相は、質問でも言及がなかった森友問題を冒頭から持ち出した。財政健全化推進への評価を継いだものの、「罪」からの入りに与党議員席は「えっ? 何?」とどよめいた。

 一方でアベノミクスについて「財務省として客観的な評価を行うべきだ」と迫られると「デフレではない状況をつくり雇用も拡大した」と持ち上げ、検証も「既に評価は付いている」と否定。「財務省の失った信用を取り戻さないといけない」などと力を込めた森友問題への姿勢と一変した。

 牧山氏は「岸田文雄首相が『新しい資本主義』を本当に進めていきたいのであれば、アベノミクスの検証を避ける選択はあり得ない」と批判しつつ、「経済財政政策こそ業務の本筋。本来、真っ先に出て来るはずでは」と前財務相の功罪の列挙の順番を皮肉った。

 麻生派を巡っては先月、会長代行の佐藤勉前総務会長ら4人が退会し、党内第3派閥に転落。永田町では菅義偉前首相(衆院2区)の政策グループ結成と連動した動きとみられている。

 関係者によると「長い間お世話になりました」とあいさつした佐藤氏らに、麻生氏は「短い間、ご苦労さまでした」と返した。一切慰留しなかったことに派内では「冷たい印象を与え縮小再生産を招きかねない」との懸念が出たという。

 この日の財務相答弁に麻生派議員は「鈴木さんは麻生さんとのカラーの違いを出したかったのだろう」と推測。「身内に突き放されたらどんな気持ちになるのかを『親分』に知ってもらうためのショック療法であってほしい。造反だったら大変」と付言した。

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