日蓮生誕800年記念 “ハスと竜”壁画 大村の本経寺 東京芸大・木津教授が制作

本経寺の本堂に奉納されたハスや竜の壁画=大村市

 大村藩主大村家の菩提(ぼだい)寺である本経寺(長崎県大村市古町1丁目)の本堂に、ハスや太陽、竜を描いた壁画計16点が奉納された。4日には担当した洋画家で東京芸大の木津文哉教授(63)が会見し、作品に込めた思いなどを語った。
 同寺は1605年創建の日蓮(にちれん)宗寺院。壁画は開祖日蓮の生誕から800年を記念した事業の一環で同寺が木津教授に制作を依頼し、2018年から約4年がかりで完成させた。
 絵は種類の異なる素材を使って描く「ミクストメディア」の作品。日蓮が生まれた際にハスが咲き誇ったという言い伝えにちなみ、ハスの花をメインに太陽や竜を描いている。
 「日蓮について理解を深めた上で作品イメージを固めていった」という木津教授は、アクリル樹脂の絵の具を何層も重ねて立体感を出す独自の技法で、満開のハスや天を舞う竜を表現。背景には計約1600枚の銀箔(ぎんぱく)を使った。大きい物で横約3メートル、縦約2.6メートルにもなり、本堂内を囲むように16点が並べられている。
 同寺の佐古亮景住職(65)は「見上げると迫力があり、本堂が荘厳な雰囲気に包まれているように感じる。本経寺として誇れる物となった」、木津教授は「ハスの“静”、竜の“動”のコントラストを意識し、視線のリズムに配慮した構図にした。これ以上できないくらいやり切った作品」とそれぞれ話した。

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