原一樹が考える!”京都サンガFC、磐田戦の「1-4敗北」の受け止め方”【フットボール研究所】

今回からスタートする「原一樹のフットボール研究所」。

清水エスパルス、浦和レッズ、京都サンガ、ギラヴァンツ北九州、カマタマーレ讃岐、ロアッソ熊本、そしておこしやす京都でプレーし、昨年限りで現役を引退された原一樹さんに毎週お話を伺います!

現在は京都に本拠地を置いて活動している原一樹さんが、毎週の京都サンガFCの試合をレビューし、「MY MVP」を選出する連載コーナーです。

京都サンガFCは、3月2日にルヴァンカップのグループステージ第2節でサガン鳥栖を相手に勝利。そして週末にはジュビロ磐田と戦い1-4と敗北しました。

原一樹さんはこの週の京都サンガFCをどう見たのか?(※このコーナーは、FMおとくに86.2 水曜20:30~20:58「フットボールラウンジ」で放送しています)

――まず、先週の結果から振り返ります。週の半ばにルヴァンカップのサガン鳥栖戦を行い、2対1で勝利しました。山田選手の初ゴールもありましたね。

そうですね、すごくいいゲームでした。入りから終盤まですごくいい戦いをしているなと感じました。

――そして週末はジュビロ磐田戦。J2からの昇格組同士の戦いでしたが、上福元直人選手が退場するなどして4失点を期して敗北しました。この試合は現地で赤嶺真吾さんと観戦されていましたね。感想はいかがでしたか?

入りも鳥栖戦よりは良くありませんでしたし、その中で10人になってしまうとJ1のレベルでは厳しいのかな、というのは感じましたね。

――京都はJ1に上がってから公式戦を5試合を戦って2勝2分1敗。いい流れが続いたところから、ガクッと下がってしまった。磐田が良かったのか、あるいは京都がうまくいってなかったということなのでしょうか。

10人になってしまうと、やはりジュビロのような技術的にしっかりとしたチーム、戦術的にも浸透しているチームが相手ですと、やはり戦い方としては難しいのかなと思います。その中でも、いいシーンも作れていましたが、数的不利という状態がゲームの結果に出てしまったかなと感じます。

――特に京都のような前からプレスをハメていくようなプレーは難しくなりますか。

やはり、京都は全員が高い位置を取ってハイラインにした「攻撃的な守備」という戦術を取っているので、その中で一人少ないとなるとリスクもさらに高くなります。

前線から行けないことによって、今までやってきたサッカーと少し違ってしまう。そこで選手の中での混乱もあったと思いますね。

――逆に言えば、磐田としては良いゲーム運びができた試合でしたね。鈴木雄斗選手には2ゴールを決められました。

いいところにこぼれてきたのもありましたが、京都からすれば災難でしたね、「オフサイドなのか、イエローカードなのか、退場なのか…」という。僕も初めてVRが使われた現場にいたんですが、ちょっと異様な雰囲気だなと感じていました。難しい展開が多かったですね。

ただ、若い選手たちには本当にいい経験になったと思います。スローガンも「みんな輝け」ですし、経験したものが次の試合からまた生きてくればいいですね。

――原さんの「ストライカーの目線」でいえば、ウタカ選手のゴールがとてもすごかったですね。

【動画】ピーター・ウタカが個人の力でねじ込んだスーパーゴール

すごかったですね!完全に個で打開していきました。あの1点は、会場にもチームにも「まだいけるぞ」という空気に持っていきましたしね。ただ、その後すぐ失点してしまったんですけど。

本当に難しいパスから、難しい体勢でのシュートではあったんと思うんですが、あそこでゴールを取る力は「やはりJ1でも戦える貴重な選手だな」と感じましたね。

――曺貴裁監督も記者会見で「3失点目が痛かった」というお話をされていました。選手としてピッチにいたとして、ゴールを取った後にすぐ取り返されるシチュエーションはどう感じますか?

やはりダメージは大きいですね。

ゴールを取った後のキックオフでは、「いけるぞ」となります。もう1点取ったら勝ち点を拾える。もしかしたら逆転まで狙える!という雰囲気になったと思います。しかしあれほど苦労して取った1点だったのに…。

もう少し時間帯が遅ければ、と思いますね。ゴールを決めた後、失点までの時間が長ければ…というのはタラレバになってしまうんですけどね。内容的にも、失点が早かったかなっていうのは感じましたね。

――ただJ1昇格からすぐにこういう試合を経験できたのは、若い選手たちにとっていい学習機会になるんじゃないですか?

一人少ない中で戦う、まして前半から最後までというのはなかなかないと思います。その時に自分たちのアグレッシブな前線からの守備をどうするか…という判断材料にもなったと思いますし、これはとても貴重ですね。

負けてしまったものをどうこう言うよりも、貴重な経験をしたと考えて次に向かっていくことがいいと思います。

――上福元直人選手の退場もありましたが、Jリーグでは今年第3節までで11人にレッドカードが出ています。選手の立場から見るとどうでしょうか。

間違いなくこれは退場だよねというファールもありますけれども、VARを使った判断、審判の基準による判断を総合的に合わせても、少し厳しい判定が多いのかな…とも。ただ、基準が変わってきているのもあるのでしょうね。それによって選手が守られているところもあると思います。サッカー自体も熱くなってきているのかなと感じますね。

僕は退場したことはないんです。相手が退場したことはありますが、それこそ悪質なものではなく、「チームを守るための守備」でした。ただ、今の基準でVARを入れて見られると、やっぱりなかなか厳しくはなりますね。

上福元選手のプレ―も、京都サンガ側で見ているのか磐田側で見ているのかで見解も違いますし、フラットな立場のレフェリーの判断は受け入れなくてはいけないものではありますね。

――より繊細なプレーが求められるようになっていますね。

そうですね、本当に頭良く戦わなければいけません。

あそこでもし抜かれて失点するかどうかでいえば、カバーの選手はいましたしね。一つの場面をくり抜けば「行かれたくない」シーンかもしれませんが、あそこで“レッドが出るかもしれない”と頭の片隅に入れてプレーするとまた違ってくるのかなとは思いますね。頭を使った賢いサッカーをしていかないと、なかなか試合を優位に進めることはできなくなってくいます。

――次は12日に湘南戦があります。サンガだけではないんですが、開幕からここまで週2試合がずっと続きました。ようやくミッドウィークが空きますね。

キャンプを重ねてきて、体力的にもしっかり追い込んできていた。週2試合があったことは、サブだった選手が出場できてアピールできた。そこはとてもポジティブだったと思います。ここで1週間挟むことで休みも取れますし、頭も体もリフレッシュできますね。12日の湘南戦もすごく楽しみな一戦になるなと思います。

――曺貴裁監督も古巣との対戦ですから、一層力も入るでしょうね。

相手もそう思っているでしょうしね。お互いに高め合った中での、面白いゲームになるだろうなと感じます。

――いい試合を期待しましょう。最後に原さんから「MY MVP」を選んでいただきます。まずサガン鳥栖戦はいかがでしょうか?

間違いなく豊川雄太選手ですね。初ゴールの山田楓喜選手もとても良かったんですが。

豊川選手は前半から、守備にしろ、ボールの受け方にしろ、すごい運動量を見せていました。ハーフタイムで「あ、これ点取るね」といういう話をしていたぐらいの動きでした。その通りに点を取ってくれましたし、それによって自信にも繋がったと思います。

――続きまして磐田戦はいかがでしょうか。

チーム全体が受け身の流れになっていた中で、強烈な個の力でゴールを取ったウタカ選手ですね。守備でもみんな頑張っていましたし、荻原選手も非常にスピードを生かして前線にも絡んでいたんですが、やはりゴールという結果。

負けてしまいましたが、0-4で終わるのと1-4で終わるのでは全く違います。そのゴールを取ったというところでウタカ選手をMVPにしたいなと思います。

――あのようなことができる選手がいると、相手の守備は全く気を抜けないですね。

速さもありながら、強さもある。ゴールを取る技術も素晴らしいなと思います。

――最後に!原さんはこれからどんな活動されるのか教えていただけますか?

3月12日に「オンラインファンミーティング」をさせていただきます。ぜひみなさんに参加していただければと思うので、僕のTwitterやInstagramなどをチェックしてください。「第2の人生キックオフ」というファンミーティング、よろしくお願いいたします。

――今日もありがとうございました。以上「原一樹のフットボール研究所」でした!

「原一樹のフットボール研究所」は、毎週水曜日20:30~20:58にFMおとくにで放送している「フットボールラウンジ」でもお届けしています。ラジオでもぜひお楽しみ下さい。

© 株式会社ファッションニュース通信社