F1参入が噂されるアウディ、LMDhプログラムを一時中断「今後2~3カ月」保留へ

 アウディが計画していたLMDhの取り組みが、F1への参入がうわさされるドイツメーカーの影響を受けて一時停止していることがわかった。

 アウディの広報担当者はSportscar365に対し、2023年シーズンに向けた開発がストップしている背景を語らなかったものの、「今後2~3カ月、プログラムを停止した」ことを確認した。

 これは、すでにトラックテストを開始しているポルシェのLMDhカーとともに、アウディと提携することになっているマルチマチックによる最初のシャシーが割り当てられた後に行われる。

 複数の業界関係者がSportscar365に語ったところによると、アウディのプログラムはWEC世界耐久選手権ではチームWRTとのファクトリーサポートの取り組み、WECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両方ではカスタマーカーの割り当てが予定されていたという。ドイツメーカーのプログラムの一時停止は、これらが実質的に中止されたことを示唆するものとなっている。

 しかし、アウディの広報担当者はこのような詳細を認めていない。おそらくは、2026年シーズンのF1への参入が正式に確定するのを待っているものだと思われる。

 また、ダカールラリー・プログラムを取り巻く費用が予想以上のコストとなったことも要因のひとつであると考えられている。

 アウディのLMDhプログラムについてはここ数カ月、上級レベルのスタッフが繰り返し「プログラムは予定どおり」と主張してきたにもかかわらず、今週初めに社内で決定されたとみられている。

 アウディスポーツのカスタマーレーシング責任者であるクリス・ラインケはそのひとりだ。彼は今年1月、Sportscar365に対し当時このプログラムはまだ「順調に進んでいる」と語っていた。

 今回の進展により、LMDhのデビューイヤーとなる2023年は、ポルシェだけがマルチマテチック製のLMDhシャーシで走行することになる可能性が高まった。一方、姉妹ブランドのランボルギーニからの最終決定が数週間以内に行われる可能性が高いとの報告も入っている。

 しかしSportscar365は、2024年にデビューすることになるであろうランボルギーニLMDhカーが、必ずしもマルチマチック社のLMDhプラットフォーム上に構築されているとは限らないことを理解している。

 アウディがプログラムのキャンセルを正式に発表した場合、LMDhプラットフォームに参加する自動車メーカーは、アキュラ、アルピーヌ、BMW、キャデラック、ポルシェの計5メーカーとなる。

アウディスポーツが2022年のダカールラリーに投入した『アウディRS Q e-tron』

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