東京電力福島第1原子力発電所の処理水を巡り、岸田文雄首相は10日の参院予算委員会で、来年開始をめどとした海洋放出の政府方針は変えない意向を示した。共産党の岩渕友氏からの「汚染された水の放出はしないとの地元漁協などとの約束に反する」との批判に首相は「汚染水ではなく処理水だ」と反論した。
海洋放出の政府方針は昨年4月13日に決定。当時の菅義偉首相(衆院神奈川2区)は「約2年後をめどに放出を始められるよう東京電力に設備の設置を促す」などと説明している。
同日の予算委審議で萩生田光一経済産業相は「風評に打ち勝つ対策を着実に実行して懸念を払拭(ふっしょく)する。科学的根拠に基づく正確な情報を発信し一人でも多くの方に理解いただけるように努めている」と説明。立憲民主党の岸真紀子氏は「理解も納得も全く進んでいない。海洋放出を強行することは許されない」と指摘した。