「ラミレスさん、清原さんとはタイプが違う」 DeNA牧が描く“自分らしい4番像”

DeNA・牧秀悟【写真:中戸川知世】

「佐藤輝に打率とかそういうところで負けないように」

プロ2年目にしてDeNAの開幕4番に指名された牧秀悟内野手。球団史上2年目以内の選手が開幕4番を務めるのは、大洋時代の1960年の桑田武以来、62年ぶりの快挙だ。同い年のライバルで何かと比較される阪神・佐藤輝明内野手も、先輩の大山と4番の座を争っている最中で、若い2人の“4番競演”も期待される。

9日現在、オープン戦全8試合に4番で出場し、打率.455(22打数10安打)の猛打。三浦大輔監督は「牧なら任せられると判断しました」と確信を深めた。

佐藤輝とは大学時代から仲が良く、プロ入り後も対戦前の練習中に談笑する姿が何度か見られた。昨年オフ、佐藤輝が今季の目標に「シーズン100本塁打、お立ち台10回」を掲げたと聞くと、牧は「佐藤が乗ってきたら、本当に(100本塁打)打つのではないか」と真面目な表情で話し、「僕はホームランバッターではないので、打率とかそういうところで負けないように、お互いに頑張っていきたい。お立ち台は(佐藤輝に)勝ちたいので10回、もしくは11回!」と対抗意識をのぞかせていた。

「子どもの頃から、4番を打つことは多かったですね」と振り返る。その中でも、中大3年時代の2019年7月、日米大学野球で大学日本代表の4番を務めたことは大きな勲章だが、同大会では当時近大の佐藤輝が右肘痛でメンバーから漏れていた事情もあった。

「勝利につながるヒットを打ってチームを勢いづかせたい」

「僕はホームランバッターではない」という言葉は、開幕4番が公表された9日にも口にした。「僕の子どもの頃のイメージでは、ラミレスさん(前DeNA監督)、清原(和博)さんが“ザ・4番”ですが、僕はまたタイプが違う。自分らしい4番をつくっていきたい」と冷静に自己分析していた。三浦監督も「牧は牧らしく、4番を張ってくれればいい」と背中を押す。

牧らしさとは何か。本人は「打点のつくヒット、勝利につながるヒットを打って、チームに勢いをつけられるバッターになっていきたい」と説明する。昨季は打率.314、22本塁打71打点。ツボにはまれば一発もあるが、投球に逆らわず左右に打ち分ける技術、ここ1番での勝負強さこそ牧の身上だ。

昨季終盤、4番を張っていたオースティンが左ふくらはぎの肉離れで離脱し、以後15試合で代役を務めると、打率.517(58打数30安打)の猛打を振るった。三浦監督は「4番に座って打率をグンと上げたことも、僕の頭の中にあった」と“選考理由”の1つに挙げた。年間100本塁打は無理でも、誰よりも4番が似合う男かもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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