111本の映画から近年の映画史をひもとく 日本映画大好き監督作「ストーリー・オブ・フィルム」公開決定

近年の傑作映画の制作背景や内容をひもとくイギリスのドキュメンタリー映画「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」が、6月10日より劇場公開されることが決まった。

「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」は、スコットランドのドキュメンタリー監督マーク・カズンズによる、2010年から2021年に公開された111本の映画作品に焦点を当てたドキュメンタリー。「アナと雪の女王」「ジョーカー」などのメジャー大作から、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督「光の墓」やアリ・アスター監督作「ミッドサマー」などのインディペンデント作品まで、独自の視点でジャンルを問わず近年の映画史をひもとく。さらに、デジタル配信の可能性、進化を続ける映像技術を紹介。同時に映画のもたらす希望、力、革新についても語られている。

これまでの人生で「きちんと数えた事が無いから具体な数字は分からないけれど恐らく、約16,000作品以上は観ていると思うな。この10年の間だと、約3,600作品くらいかな。365日毎日欠かさず映画を観ているよ」と、並々ならぬ映画への思いを明かす監督自らが、本編のナレーションを務めている。

制作会社は日本でも公開された「ようこそ映画音響の世界へ」を手掛けたDOGWOOF。ドキュメンタリーに特化したマドリードの「シネマテークマドリード」や、多くの映画人が集うことで知られるニューヨークのメトログラフ、ロシア映画を多く上映するパリの「ラルルカン」など、世界中の有名な映画館も劇中に登場する。

マーク・カズンズ監督のコメントも公開された。「一番好きな映画は?」と質問をされた時は、いつも今村昌平監督の「にっぽん昆虫記」を挙げているというカズンズ監督は、「OZU」と書かれた小津安次郎Tシャツを着用し、腕には「田中絹代」とタトゥーを入れた写真とともにあふれる日本映画への愛を明かしている。また、「映画は手頃な価格で世界を視る事ができる崇高な物だと思っています。言葉や国境を越え人々を一つの“ファミリー”にする事が出来る。「映画」という一つの共通言語で人と人を繋げてくれるのです。本作を観て、映画を愛する一つのグローバルな部族の一員に、あなたも加わってくれたなら、これ以上嬉しい事はありません」と、日本の観客に向けてメッセージを寄せている。

【マーク・カズンズ監督 コメント全文】

親愛なる日本の皆さんへ。
私は、「もしも世界で映画産業の発展を妨げるような脅威が発生したとして、たった1つの国の映画文化しか助けられないとしたらどの国を選ぶか?」と言われたら、迷わず「日本」と答えます。それぐらい邦画が大好きです!また、「一番好きな映画は?」と質問をされた時は、いつも今村昌平監督の『にっぽん昆虫記』(63)を挙げています。ちなみに、(私の住んでいる)エディンバラに、今村監督と奥様を招聘した事もありますよ!
…すみません、話が脱線してしまいました。私は、映画は手頃な価格で世界を視る事ができる崇高な物だと思っています。言葉や国境を越え人々を一つの“ファミリー”にする事が出来る。「映画」という一つの共通言語で人と人を繋げてくれるのです。本作を観て、映画を愛する一つのグローバルな部族の一員に、あなたも加わってくれたなら、これ以上嬉しい事はありません。
ちなみに、最後にこれだけは言わせて欲しいのですが…
イギリスで開催されているシェフィールドドキュメンタリー映画祭(世界最大規模のドキュメンタリー映画祭)で、私は3年間ゲストプログラマーを務めた事があるのだけれど、そこで土本典昭監督(『水俣 ─患者さんとその世界─<完全版>』)、原一男監督(『ゆきゆきて、神軍』)、小川紳介監督(『ニッポン国 古屋敷村』)、今村昌平監督(『うなぎ』)を上映した事があるんだ。私の著書「Story Of Film」(04年日本未発売)、TVシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」のエピソード3(4/1より(金)JAIHOにて配信予定)でも言及しているのだけれど、間違いなく、小津安二郎監督作品こそが、まさに映画の古典だと思っています!ちなみに、私の腕には田中絹代さんのサインを模したタトゥを入れています!!

【作品情報】
ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行
2022年6月10日(金)新宿シネマカリテ他、全国順次ロードショー
配給:JAIHO

© 合同会社シングルライン