東日本大震災から11年 被災地、犠牲者に思い寄せ 発生時刻に鐘突き 上越市・高田別院で「勿忘の鐘」

 東日本大震災、福島第1原子力発電所事故から11年目の11日、上越市内の各寺院で今年も「勿忘(わすれな)の鐘」の音が響いた。同市寺町2の高田別院では、関係者や近隣住民ら15人が地震発生時刻の午後2時46分に鐘を突き、被災地や震災犠牲者に思いを寄せた。

家族連れらが参加し地震発生時刻の午後2時46分に鐘突き。震災から11年の同日、被災者や犠牲者に思いを寄せた

 勿忘の鐘は震災を忘れず犠牲者に思いをはせ、復興と支援に心をつなごうと、震災翌年の平成24年に岩手県の本稱寺と宮城県の東北別院から始まった。高田別院では真宗大谷派高田教区(上越3市)キッズふくしま実行委員会が主催。同会は原発事故で外遊びができなくなった子どもたちに楽しんでもらおうと、年2回上越に招いている。

 同日は、幼い子ども連れからお年寄りまでが参加。林康一郎さん(43、上越市鶴町)は妻の弥生さん(43)、長女の果音ちゃん(1)と参加。震災当時は新潟市で会社勤めをしていて、着の身着のままで避難してきた人であふれる新潟駅、多数の消防、警察車両が被災地へ向かう様子などが印象に残っているという。

 職場の同僚も妻と子どもが行方不明になり、一緒に東北へ向かって探した。幸い二人共に無事で「今なら同僚の気持ちが分かる」と語り、「防災から脱原発、安全性と、この11年は何もかもが変わってしまった。一言では言い表せない」。

 キッズふくしま実行委員長の繁原立(たかし)さん(38、徳正寺)は「私たちにとっては毎年、被災者の皆さんにとっては毎日が節目。まだ行方不明者がいて、立ち入り禁止の区域もある」とし、「コロナ禍で学校行事もできず、いまだに外で遊べない子どももいる。自分たちの活動で少しでも思い出と友達をつくってほしい」と願った。

© 株式会社上越タイムス社