『治る見込みがない人には、休職はさせられない』 日本社会はなぜがん患者に冷たいのか 両側乳がんになりました140

次の誰かのためにと綴っています。

ピンクリボンポスターの余波

検診啓発用のポスターについて、2回にわたってお話をしました。SNSの通り過ぎるのは早いな、と思いながらもいただいたメールからいくつかご紹介します。

46歳女性

『キャッチコピー、ポスターの件、このコラムを読むまで知りませんでした。あまりSNSをやらないもので。私は怒りよりも冷ややかな気分になりました。こういうのはやはり奇をてらったものが選ばれるのでしょうかねぇ。くじ引きの発想は無かった、患者なら誰だってハズレの白玉が良かったよと思うはず。頑張ってない患者なんていないですよね。検診に行かない人に無関心という言葉を選んだのでしょうが、私は毎年検診に行きましたし芸能人の方のり患があってからはエコーとマンモがセットのクリニックに変えたくらいです。

それでも7ヶ月も経たないで違和感で行ったら3㎝越えのステージ2でした。ただでさえ、『なぜ私が....?』という思いから切り替えて治療を頑張っていると思うんですよね。病院に貼られないことを願いますね。

私は去年10月で2年目の治療に入りました。年末、抗がん剤で閉経判定された生理(産婦人科で再度ホルモン値検査)が復活しなんだかモヤモヤしていましたが先日主治医からよくあることだと言われ少しホッとしました。細胞が戻る力ってすごいなと思うと同時に少しでも変わった事があると薬が効いていないのではと恐怖心が勝ってしまいます。笑うことを心がけてたから女性ホルモンが増えたのかなとポジ変換しようと思います。以前阿久津さんにメッセージを取り上げてもらい『あなたと私は繋がっています』と力強いお言葉をいただきうれしかったです、スクショしました。

私は8月に右胸全摘し、翌年の3月にシリコンで再建をしました。全摘後はリハビリ体操をまじめに取り組み全く腕の上げ下げに問題がなかったのですが....。ダメだと言われてた雪かきをやったのがいけなかったのか、再建後シリコンが落ち着くまで腕を動かさないで、胸が変な形になるからと言われてリハビリ体操を2ヶ月くらい止めたら完全に腕が上がらなくなりました。レントゲン、エコーのときなんて大変です。もちろん主治医に相談してリハビリを毎日やってますがなかなか元には戻りません。生活に支障はないですがねぇ。再建考えてる方にこんなこともあると伝われば幸いです。皆さんのメッセージ非常に励みになります。いつもありがとうございます。』

ありがとうございます。再建後のお体大丈夫でしょうか?とても再建とその後についてのご質問を頂戴するので一度企画したいと思います。

61歳女性

『私は、定期検診で乳がんがわかりました。自分だけは、大丈夫と思っていたのでとてもびっくりでした。でも早期発見だったので無事元気に過ごしております。もし検診で早期発見できたら、当たりくじです。私は、そう思います。』

60歳女性

『(キャッチフレーズのように)無関心ではありません。毎年人間ドックでエコーとマンモの検査を交互に受けてたのに…それでも当たったと言われ笑うしか無いですね。』

いかに、その表現が受け取られるかですよね。みなさんのモヤモヤ感が伝わってきます。

46歳女性

『初めまして。私は東京に住む会社員です。乳がん患者です。昨年10月に右胸全摘手術を受けました。現在は心身療養のため休職しながら再建準備とホルモン治療中を行なっています。

乳がんと診断された当時、いろいろな情報収集を行う中で、阿久津さんのコラムも何度も拝読させていただき、動画も拝見させていただき、その都度気づきと勇気をいただきました。本当にありがとうございます。

先日のポスターの件はピンクリボン運動の本当の意味を考えさせられるきっかけになりました。一方、報道が加熱する中でさまざまな誤解が生まれているのをみてモヤモヤしていたところ、アベプラに出演されているのを拝見して、とても説得力のある発言に感銘を受けました。患者の声を届けてくださった!と画面のこちらで拍手したほどです。

私はまだ再建途中ということもあり、自分が乳がんになったことを受け止めきれていないのですが、罹患したことで経験したことや感じたことをもとに、乳がん患者さんたちのために何かできることはないか、何か活動したい!と思っているところです。』

ありがとうございます。私もいただいた声に助けられて、背中を押されています。みんなが心地よく暮らせるようにしたい、ですよね。

50歳女性

『アメリカでは、ピンクリボンキャンペーンは乳がん啓蒙活動です。それに対し、日本は検診行きましょう!初期なら治りますキャンペーンが主で、非常に違和感を覚えます。確かに初期発見出来れば予後は良いと思いますが、私は毎年検診受けていましたし、またがんが判る前の年は、2回検診を受けていました。それでも判りませんでした。検診でも見つからないことがあることを、いつか伝えて欲しいです。

また、日本は社会のがん患者についての理解度も低いです。以前働いていたアメリカの会社は、男女問わずがんに罹患した人達が、治療が一段落したら復帰出来るよう、サポート体制もしっかりしていたので、がんになったから退職するという考えは、雇用主にも、同僚にも、罹患者本人にもありませんでした。治療頑張って!行ってらっしゃい!と、送り出してました。その感覚で、がんに罹患したと上長に伝えたところ、勝手に退職するものだと思われた上、治る見込みがない人には、休職はさせられない。と言われて非常に驚きました。

会社を説得し、どうにかがんに対する誤解を解く事が出来ましたが、その道のりが大変でした。現在籍を置く、日本企業での話です。がんに関わらず、日本はまだまだ様々な病気に対し、周りの理解が得られない中での治療と就労の両立は難しいんだなと感じました。アメリカでの長期在住経験がある、現在乳がん罹患者の日本人の私が思ったことです。』

ありがとうございます。やはり必要なのはがんについての正しい知識ですよね。ひとりひとりによって、病状も副作用も異なります。働きたい、という方は働けて、お休みしたい、という方にはお休みができる環境を整えるためには人事や上席の知識が不可欠だと思います。

先日、高校時代の同級生の乳がんサバイバー3人でオンラインで話をしたときのこと。ひとりがアメリカの日系企業に勤めていて、最初は話せなかった、と言っていました。再発後に休みが長期化することから伝えざるをえなく、伝えたあとは、手術後の体をサポートするための特別仕様の机やイスを用意してくれたり、とても配慮があったそうです。(その配慮の具合は受け取り方次第で過剰な配慮も排除につながるので難しく・・・ご本人のお話としてまたお届けしたい)

最初のり患から再発、再再発も経て16年。今もその企業で働いておられます。周りの理解を得るための努力、そしてがんと生きると決めて、ご自身の強い気持ちで働き続けている彼女に尊敬の念を抱いています。

日本の会社で働き続けるということで数々の困難がある、というメールもいただいています。次回はそのお話を。

私もいつもお世話になっている、ピンクリボンinSAPPOROさんでイベントがあります。オンラインなので全国からご参加可能です。私もお世話になっている、がんと働く応援団の吉田ゆりさんもご登壇、ヒントがたくさんあると思いますのでぜひどうぞ。

ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2022 オンライン 3月13日(日)午後1時~4時

http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/

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