テスト直前に第2子誕生のベルトラン・バケット。スーパーGT岡山公式テストで大きな手ごたえ

 3月12日、岡山県の岡山国際サーキットで始まった2022年スーパーGT公式テスト。初日のセッション1、セッション2を終えGT500クラスは1日目からタイム差が接近しており、午後のセッション2では全15台が1.3秒以内にひしめく展開となった。その中で、2022年からTEAM IMPULに加入したベルトラン・バケットは、1日目の結果に大きな手ごたえをつかんでいた。

 2022年は心機一転、TEAM IMPULからニッサンZ GT500のドライバーの一員として、すでにメーカーテストに参加していたバケットだが、この公式テスト前の3月6日に第2子誕生という嬉しいニュースが飛び込んできた。

 奇しくも、日本政府が3月1日から新型コロナウイルス感染拡大防止のための水際対策を緩和し、新型コロナウイルスのワクチンを3回接種し、オミクロン株に対する指定国・地域に滞在していないなど、一定の条件をクリアすれば、入国後の待機が免除となったタイミングだった。そのためバケットは忙しいスケジュールの合間を縫ってベルギーに一時帰国し、第2子の出産に立ち会うことができた。待望の第2子は、ベルギーについた数時間後に生まれたという。

「3月6日の朝に生まれたよ! 鈴鹿でのメーカーテスト(3月4日)を終えてから、すぐにベルギーに戻ったんだ。出産の瞬間に立ち会うことができて、とても嬉しかった!」と笑顔で語ってくれたバケット。とんぼ返りで3月9日には日本に再入国し、今回のテストに臨んでいるが、こうして待機日数が免除されることになり、より自由に母国との行き来ができることを喜んでいた。

「ちょうど3月1日に規制が緩和されて、一度ベルギーに戻ることができたんだ。本当にすごく良いタイミングだった。ようやく僕にとってもやりやすくなったね。これからはテストやレースなどで忙しくなるけど、6月か7月あたりで何週間か空くから、その時の状況にもよるけど、また帰りたいと思っている。昨年までは、こうして自由に行き来ができなくて、家族に会えない辛い思いをしていたからね。できれば、この緩和された状態が続いてほしいと思っている」

 ちなみに、第2子は男の子とのこと。

「16年経ったらニッサンドライバーになれるように交渉に行かないと(笑)!」

スーパーGT岡山公式テストでのカルソニックIMPUL Z

■岡山公式テスト1日目のタイムに好感触

 そんなバゲットは、2022年まではホンダNSX-GTをドライブしていた。ニッサンに加わり、Z GT500でテストを重ねていくうちに、さまざまな違いも感じ始めているという。

「今年はニッサン、そしてTEAM IMPULの一員となって、素晴らしいチャンスをもらえたことに感謝しているんだ。ちょうどZ GT500がデビューするシーズンということで、みんな一生懸命準備してくれている。クルマの開発も進んでいるし、ポテンシャルがあると思っている」

「ホンダにいたときのGT-Rはダウンフォースがすごくあるクルマという印象があったけど、Z GT500は、ロードラッグでストレートスピードが良さそう。富士では間違いなく速いだろうし、鈴鹿でも速さをみせられるかもしれない」

 また、今回の岡山公式テストでは、新しいカルソニックブルーのレーシングスーツをまとい、どこか誇らしげな様子なのが印象的だった。

「僕もカルソニックカラーは大好きだし、ヨーロッパの人でもこのカラーリングを知っている人はたくさんいるからね。あと僕にとってラッキーだなと思うのは、過去には中嶋(悟)さん、金石(勝智)さん、そして今年は星野(一義)さんと、素晴らしい人たちのもとでドライバーとしてレースに臨めている。これだけの機会に恵まれて、本当に幸せだ」

「TEAM IMPULはすごく強いし、何よりみんなのモチベーションも高い。これが今年戦っていく上では重要なことだなと感じているんだ。(平峰)一貴のことも以前から知っていて、すごく速いドライバーだし、昨年は勝利も挙げて、ニッサンの中でもシリーズ最上位だった。さらに彼は英語も話せるから、コミュニケーション面も問題はない。今年、彼とともに良い仕事ができると思う」

 1日目はセッション1でau TOM’S GR Supra、セッション2はAstemo NSX-GTと、ライバルメーカーのマシンがトップタイムを記録したが、いずれのセッションでもカルソニックIMPUL Zは0.3秒差につけており、バケットはこれをかなりポジティブに捉えていた。

「僕たちは岡山を走るのが初めてだけど、すでにテストをしているライバル(2月9〜10日にメーカーテストで走行)と比べて0.3秒差のところにつけられているのは、悪くない証拠だと思う。さらにベストなセッティングを見つけていければ、開幕戦から速さをみせられるだろう」

「新しいZ GT500の記念すべき1勝目をTEAM IMPULで挙げられたら最高だと思う。それを達成するために、今も懸命に作業を進めているよ!」

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