「土偶のABC」完成 実在の遺物を再現&デフォルメ「おらが町の土偶を知って」

2月上旬から約4週間、アルファベットを土偶で表現した「土偶のABC」を毎日1文字ずつ公開したSNS投稿が完結し、ツイッターやインスタグラムで注目を集めている。制作者のフクタヨさん(インスタグラム:@fukutayo)は実在する土偶から文字に見えるものを探し、自ら粘土をこねて作り出した。

「ABCDEFG」順番に並べてみると…

アルファベット26字と「&」の記号を合わせた全27個の「土偶のABC」は、それぞれ手のひらにのる大きさに作られた。フクタヨさんは書籍などでアルファベット似た土偶を探し、それをモチーフに作品を生み出した。材料には土器作りのワークショップで手に入れた粘土を使った。

国宝の土偶「縄文の女神」(山形県出土)を参考にした「I偶」や、国宝「合掌土偶」(青森県出土)を参考にした「N偶」など、実在する土偶を忠実に再現したものもあれば、北海道の「トリサキ土偶」を横長にアレンジした「Z偶」など、文字により似せるため手を加えた作品もある。「A偶」や「P偶」などフクタヨさんが独自に創作したものも一部ある。

「M偶」
おちゃめな表情の「Q偶」

「土偶のABC」シリーズは、フクタヨさんの地元・福島県で出土した国重要文化財「しゃがむ土偶」が昨年、「ぴ~ぐ~」という愛称を付けられたことを受け、「自分なりの『ぴ~ぐ~』を作ろう」とPの形の土偶を考えたことから始まった。第1号の「P偶」は実在する土偶ではなく、子ども向け番組「ポンキッキーズ」のキャラクター「Pちゃん」をモデルにしたという。

土偶ファン歴5~6年のフクタヨさんは「知れば知るほど奥深い」と魅力を語る。地元の土偶を知るうちに「”おらが町”の土偶や縄文文化をみんなに知ってもらいたいという思いが強くなった」。「(縄文遺物の出土が多い)東日本に住んでいる人だったら、自分の住んでいる町にもかわいい土偶がいるんです。そういうことも知ってほしい」と土偶文化のさらなる盛り上がりを期待した。

(よろず~ニュース・今井 佳奈)

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