「神奈川から応援大きい」石川知事選、自民共倒れ食い止め 菅、小泉、河野氏ら支援

左から河野太郎氏、小泉進次郎氏、菅義偉氏

 事実上の保守三つどもえとなった石川県知事選は、菅義偉前首相(衆院神奈川2区)、小泉進次郎前環境相(同11区)、河野太郎前特命担当相(同15区)らが支援した元衆院議員の馳浩氏が制した。

 自民は馳氏と元参院議員の山田修路氏との分裂選挙となり、共倒れの危機に直面した。神奈川県連会長に内定している小泉氏は、大規模な集会から「隠密」のミニ集会まで現地で応援に奔走。「統一地方選へのドミノ発生が食い止められた」と胸をなでおろした。

 馳氏も山田氏も安倍晋三元首相の派閥に所属。馳氏が最初に手を挙げ自民は一本化すると見られたが、全国農業協同組合中央会(JA全中)に縁が深い山田氏も出馬を表明。そこへ保守層に強い元金沢市長の山野之義氏が参戦し、馳氏と山田氏を選び切れない自民支持層の受け皿となった。

 地元の北國新聞社が告示前に実施し報じた情勢調査では、「山野氏がわずかにリードし山田氏、馳浩氏が追う展開」とされた。こうした中で菅氏は2月の馳氏の集会で「情熱と改革意欲を持ちリーダーにふさわしい」と「人物本位」で支持を表明。河野氏も現地入りし、馳氏の「朝のラジオ体操集会」から付きっきりで街頭に立った。

 横須賀の知人を通じて馳氏と懇意の小泉氏も選挙戦最初の週末に応援に入った。自民関係者によると、街頭演説や箱物での大規模集会をこなす一方、農業関係者や無関心層の取り込みにも動いたという。

 各種選挙で投票率が低い自治体をあえて訪ねてマイクを握り、「皆さんが動けば石川が変わる」と呼び掛け。山田氏が強い地盤ではJAの若手や幹部約20人を「隠密に」(自民関係者)集め、「党の農林部会長時代に馳さんと一緒に仕事をしてきたことをアピールしていた」(同)という。馳陣営関係者は「自分たちは一時は3番手。結果は次点と8千票差で僅差。菅前総理、小泉さん、河野さんら神奈川からの応援は大きかった」と振り返った。

 激戦から一夜明けた14日、小泉氏は「得票は馳さん19万、山野さん18万、山田さん17万とまさに3分裂。このしこりを解消するのは容易ではない」と安倍氏ら同派幹部の責任を示唆しつつ、「統一地方選まで1年で自民都道府県組織の関係者には人ごとの選挙ではなかった。この戦いでの経験を今後の地方選戦略に生かしていきたい」と話した。

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