長崎刑務所 感染止まず…クラスター公表1週間 工場一部停止、単独室隔離で対応

新型コロナウイルスの感染拡大が続く長崎刑務所。工場の一部停止など対応に追われている=諫早市小川町

 長崎刑務所(長崎県諫早市)で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。クラスター(感染者集団)を県が公表してから16日で1週間。陽性者は13日までに37人(うち職員3人)となり、同刑務所は15日に新たに5人(同1人)の感染を発表した。受刑者が懲役作業に従事する「工場」は一部停止された。
 同刑務所が8日、発熱した受刑者1人を検査し感染が判明。風邪の症状で健康観察していた16人も陽性が確認された。県は9日、19人のクラスターと公表した。
 同刑務所の受刑者は15日現在、447人。職員は約220人。感染が確認されたのは20~70代で、今のところ重症者はいない。保健所の指導を受け、陽性者や濃厚接触者の疑いのある受刑者らを単独室に移して隔離するなど、処遇部門や医務課を中心に拡大防止に努めている。
 周囲から隔てられた空間で、集団で行動する刑務所や少年院などの矯正施設。法務省によると、全国で感染が判明した被収容者は2020年4月の初確認から今月10日までに1215人。職員1209人。26件のクラスターが発生した。
 同省は20年4月に感染防止対策ガイドラインを策定した。マスク着用をはじめ、複数が手に触れる箇所を定期的に消毒するなどの対策を講じている。長崎刑務所も同様で、昨年8月に職員と受刑者計4人の感染が確認されたが、その後は年明けまで収まっていた。
 同刑務所は1月以降、まん延するオミクロン株などの特性を踏まえた厚生労働省の指針も加え対応しており、向川岳彦総務部長は「感染経路は調査中だが、なぜ、こんなに増えたのか」と困惑する。
 現在は一部の工場を稼働していないが、外部との面会や運動の時間は制限せず、他の施設との移送も状況を見定めて判断。療養や自宅待機中の職員の不足分も、稼働していない工場の担当者らの勤務を調整するなどして対応している。
 向川部長は「今のところ大きな支障はないが、感染拡大防止と被収容者の健康管理に万全を期し、早期の収束を目指したい」と話した。


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