国保医療費620万円分 請求を放棄 那珂川町 事務手続き遅れ、2月には壬生町も

 那珂川町は16日、社会保険への加入などで国民健康保険(国保)の資格を失った人が、国保の保険証を使ったことで生じた542件分の医療費計619万9061円(2月28日現在)の返還請求権を放棄すると発表した。職員の請求事務手続きが遅れたことが原因としている。

 町住民課によると、国保は社会保険加入や町外への転出などで資格がなくなる。ただ、資格を失ってから社会保険などの保険証が手元に届くまでにはタイムラグがあるため、国保の保険証を使い医療機関を受診するケースが生じるという。

 この場合、町は受診者に医療機関側を通じて正しい保険で請求し直すよう要請したり、5年以内に直接本人へ医療費を請求したりすることになっているが、未要請・未請求分が発生した。町は「医療費関係の事務量増大に対し、マンパワーの問題などもあり対処仕切れなかった」としている。

 放棄するのは2016年3月~20年1月に資格喪失後、受診した分。町から受診者への請求権が失われた分と、受診者から加入保険に請求できる2年間の期限を過ぎた分を合算した。町は金額の精査を進めた上で、権利の放棄に関する議案を町議会に提出する。町は「町民の皆さまにご負担を掛け、大変申し訳ありません」としている。

 壬生町は2月、同様のケースで約597万円の請求権を放棄すると発表した。

© 株式会社下野新聞社