特別自治市構想巡り神奈川県が見解「住民目線から見て、法制度化は妥当でない」

神奈川県庁

 政令市が道府県から独立し、権限や財源の移譲を目指す「特別自治市」構想を巡り、神奈川県は16日、「住民目線から見て、法制度化は妥当でない」とする見解を公表した。同構想は全国20の政令市でつくる指定都市市長会が、二重行政の解消や大都市経営の効率化などを掲げて法制化の動きを強めている。

 全国最多の3政令市(横浜、川崎、相模原市)を抱える県は見解で、政令市側の二重行政との指摘に「法令による役割分担や住民ニーズに基づいている。指摘は当たらない」と反論。これまでも地方自治法に基づく「調整会議」で政令市側と協議し、パスポート発給事務などの権限移譲を進めてきたとも主張した。

 税財源の移譲に関しても「地方が連携して国に解決を求めるべき課題。道府県から政令市への移譲では根本的な解決にならない」とした。仮に3政令市が特別自治市に移行した場合、県の政策的経費の3分の1に相当する財源不足に陥るとの試算も示し、特別自治市以外の市町村での「行政サービスの維持が困難になる」との懸念を示した。

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