川崎市、特別自治市実現へ本腰 福田市長肝いりで機運醸成 担当職員配置し体制強化

定例会見で特別自治市制度の実現に向け意気込みを語る福田市長=川崎市役所

 川崎市は来年度から、特別自治市制度の実現に向けて活動を本格化させる。福田紀彦市長の肝いりで、担当職員を配置して普及啓発に取り組み、機運を高めたい考えだ。一方で、市民から反対の声が上がり、温度差がある。市は「丁寧に説明し、理解を得ていきたい」としている。

 同市は2017年3月、「新たな地方分権改革の推進に関する方針」を策定し、特別自治市について考え方を明記。「市民生活に関連する事務・権限などを担い、自主財源の確保などで自主的・自立的な行財政運営が可能」とし、県との二重行政の解消を主眼に置く。市はパネル展示など普及啓発に取り組んできた。

 特別自治市制度を巡っては、国の地方制度調査会や全国20の政令市でつくる指定都市市長会などで議論されている。実現には地方自治法の改正などが必要で、同市長会は昨年11月、政令市を道府県から独立させる特別自治市制度の実現に向けた提言を国に提出するなど、にわかに活発化している。

 福田市長は経済界との連携強化を図る同市長会の新設ポストに就いており、理解推進などの取り組みを始めている。昨年10月の同市長選では特別自治市構想を公約に掲げ、今年4月の組織改正で市都市政策部に「地方分権・特別自治市推進担当」を配置し、体制強化を図る。22年度当初予算案には住民説明会や影響調査などの費用約2700万円を計上し、取り組みを加速させるという。

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